書籍・雑誌

2020年12月26日 (土)

今年のおすすめの本

今年もわずかとなりました。おすすめの本をご紹介します。
年初からずっと自費出版の本の内容の見直しをしていましたので、1タイトルだけご紹介します。

俳優修業(第一部 第二部) スタニスラフスキー著 山田肇訳 未来社 1975年
元陸上選手の為末大さんがお薦めしていた本です。第二次大戦前の旧ソビエトの俳優学校での授業内容で、第一部は内面的なこと、第二部は発声、演技など外面的なもの、2冊とも約400頁にわたって書かれています。とても古い本ですが、内容は現代にも通づると思います。広島県立図書館でお借りして読みました。俳優業とは縁がありませんが、人前でお話する「講師」、大勢の観客を前にする「アスリート」などの職業の方には参考になること盛りだくさん。以下は気になる文章の抜粋です。

「俳優を戯曲の始めから終わりまで導いていく、その内的な努力の線を、我々は、コンティニュイティとか、貫通行動とか呼ぶのである。この貫通線が、戯曲のすべての小さな単位と目標とに電流を通じて、それらを超目標の方へ向けるのだ。そうなってからは、それらはみんな、共通の目的に奉仕するのである。」(第一部 第十五章 超目標 401頁)

「情緒で熱せられ、意志に満たされ、知性によって導かれるところのエネルギイというものは、重要な使命に携わる使節のように、確信と自負とを懐いて動くものである。」(第二部 第五章 動作の柔軟さ 72頁)

「我々の知性に及ぼす直接の効果は、思考を喚起するところの、言葉、テクスト、思想によって達成される。我々の意志は、超目標により、他の目標により、行動の貫通線によって、直接に動かされる。我々の感情は、テンポ・リズムによって、直接に働きかけられのである。」(第二部 第十二章 物言いとテンポ・リズム 372頁)

「我々が他人と言葉を交わす場合には、我々はまず、心の眼の網膜に映じた言葉を見て、それから、そうやって見たものについて話すのである。もし、我々が他人の言うことを聴いているのならば、我々はまず、人の言っていることを、耳を通じて受け入れ、それから、我々の聞いたことの心的映像を作る。・・俳優にとっては、言葉とは、単なる音なのではない、それは、イメイジを喚起することだ。だから、舞台で、言葉を交わす場合には、耳に向かって話すよりは、眼に向かってすべきである。」(第二部 第五章 イントネイションと休止 174頁)

「諸君が物言いの本当の力が必要なのであったら、ヴォリュームのことは忘れたまえ、そして上がったり下がったりする抑揚と、それから休止とを思い出すことである。」(第二部 第八章 インとネイションと休止 221頁)

「ある役を百回目に演ずる際に、これから起ころうとしていることを忘れるにはどうしたらいいでしょうか?」「そんなことは、できないし、またする必要がない。・・演ぜられる人物は、これから先のことは知るべきではないにせよ、依然として役にとっては、一々の現在の瞬間をより十分に味わい、より十分にそれに身を任せるようにパースペクティブ(perspective 視点)が必要なのである。ある役の未来は、その役の超目標だ。人物をそれに向かって動き続けるようにさせたまえ。もしも俳優がそれと同時に、役の線全体を一瞬思い出すならば、それでなんの害もないであろう。」(第二部 第十章 人間形成のパースペクティブ 273ページ)

「あらゆるものが、パースペクティブと行動の貫通線と、この二つの要素のために起こるのだ。この二つは、創造の、芸術の、演技への我々の最も重要な意義を体しているのである。」(第二部 第十章 人間形成のパースペクティブ 277頁)

「その第一は、・・諸君の知っているように、能動性の原理であり、我々は人物のイメイジや情緒を芝居にして見せるのではなく、役の形象や情緒として行動するのだ。・・第二は、プーシキンの有名な言葉で、これは、俳優の仕事が、感情を作り出すことではなく、ただ、そこでは真の感情が自発的に発せられるような、与えられた環境をつくりだすことだけだ。・・第三の基礎は、我々自身の自然の有機的な 創造で、これを我々は、次のような言葉で表現する。意識的技術を通じて、芸術的真実の潜在意識的創造へ。我々の演技への近づき方において追求される主要目標の一つは、有機的自然とその潜在意識との創造性に対する、この自然な刺戟(しげき)なのである。」(第二部 第十五章 習得したことの図式 414から415頁)

「ちょうど完璧な詩作品には、余計な言葉が一つもなく、詩人の芸術的計画にとって必要な言葉だけしかないように、役のスコア(楽譜、演技)には、一つとして余計な情緒があってはならず、ただ貫通行動にとって必要な情緒だけでなければならない。一つ一つの役のスコアは、圧縮されなければならず、それを伝達する形式も同様で、その具体化の、鮮明で、単純で、抜き差しならない形式が見出されなければならないのである。一人一人の俳優の中で、すべての役が有機的に成熟して、生きてくるばかりでなく、また全ての情緒が余計なものを剥ぎ取られたときにのみ、情緒がすべて結晶し、寄り集まって一つの生きた接触をなしたときにのみ、それらが上演の全体的な調子、リズム、タイムの中で互いに和合しあったときにのみ、戯曲は観客に提供できるのだ。」
「上演を繰返す間は、・・機械的な反復があるばかりだということを意味するものではないのである。それどころか、すべての上演が彼に創造的な条件を課すのである。彼の精神力のすべてがそれに参加しなければならないのだ。なぜならば、そういった条件においてのみ、俳優は、彼らの情緒によって相互に影響し合う、すべての生きた神経質な人間におけるように、刻々に彼の中に起こりかねない、気まぐれな変化に役のスコアの創造的に適応させうるのだし、そうしてのみ、彼は観客に、戯曲の精神的内容のなすところの、言葉では表現できない、あの眼に見えぬ或るものを伝達しうるのだからである。そして、この或るものこそ、演劇芸術の実質の根源にほかならない。」(第二部附録 演技と演出 474から475頁)

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2018年12月22日 (土)

今年のおすすめの本

今年も残りわずかとなりました。広島市立図書館からお借りした本の中から印象に残った6冊をご紹介します。

 

 

1.「日本茶の「勘所」」飯田辰彦著 鉱脈社2012年7月初版

 

副題は「あの”香気”はどこへ行った?」。著者は、静岡生まれのノンフィクション作家です。香りのよいお茶を求めて個人農家を取材し、現状の日本茶の課題を浮き彫りにします。

 

日本茶の現状の課題・・審査基準、肥料とうまみ、萎凋(いしゅう)と香り、藪北と在来種、出荷時期と評価金額など、挙げればきりがないのですが、その中で「香り」を求める消費者の立場からのお茶生産を続ける個人農家が、少なからず存在することに感激しました。私が「香り」のない日本茶から遠ざかって25年、HOJOTeaさんのお茶をきっかけに再び日本茶も飲むようになりました。

 

クッキングスクールの講座のコマ数も増え、新たに日本茶のお話も1時間設け、お店でも今年4月から日本茶を数種類メニュー化しました。この本に登場します牧之原市の駄農園さんのお茶も数種類ご用意しています。http://danouen.com/

 

ご希望のお客様は、店長までお問いあわせください。

 

以下の抜粋は、HOJOTeaさんのHP「プーアル茶の正しい知識」http://hojotea.com/article/puerh.htmより

 

「お茶の品質は、喉越しの深さで決まります。

 

日本語における喉越しという言葉は、非常に曖昧で理解しにくいですが、言い換えるならば「余韻」或いは「こく」と言う言葉が適切かと思われます。お茶を飲んだ際に、低品質のお茶は香りが強く、それでいて後に残りません。良いお茶は、喉の奥までグッと入り、香りも甘みも長く持続します。この感覚を中国語では「喉韻」という言葉であらわします。中国でお茶を買い付ける際、この喉韻が分からない人は本当のプロとして認めてもらえません。

 

お茶だけに限らず、美味しい食品、果物、野菜、ワイン、酒、そしてジュースの全てを喉韻と言う表現で説明することが出来ます。・・」

 

 

2.「道元禅師の「典座教訓」を読む」秋月龍〇(王へんに民)著 ちくま学芸文庫2015年9月初版

 

典座とは、禅寺の食事係の担当役職です。中国で修業した道元は、そこで見聞きし体験した修行生活を日本で再現しようとして数冊の著書を残しました。その内の一冊、典座の心構えを記したのが「典座教訓」です。日常の営みが尊い修行そのものであり、食材を余すところなく大事にせよということです。

 

著者の秋月氏は、往年の鈴木大拙氏に師事。わかりやすい禅、口語訳の公案に関する著書が多数あります。臨済宗、曹洞宗の違いはありますが、方法論が違うだけで最終目標は悟りを得ることで違いはありません。すべての料理人に一度は読んでほしい一冊です。

 

 

3.「英語のリスニングは発音力で決まる」鵜田豊著(株) ジャパンタイムズ発行2004年10月初版

 

副題は「UDA式30音練習帳」CD1枚付き。前半は、英語の発音を発音記号1つずつを丁寧に教え、後半ではセンテンス、文章と徐々に耳に慣らして、省略箇所や日本人のつまずきやすい箇所を説明。CDを聞きながら自らの発音力を上げることで、英会話のリスニング力を向上させようという本です。

 

英語と日本語の発声法の違い、特に、あごの動きを意識しながら発音する母音を認識することでリスニング力をUPさせようというのが、著者独自のメソッド「UDA式」です。

 

CDは、単語、文章をリズムに乗せて発音。1日10分弱、12日に分けて容易に練習できるように構成されています。私が中学生の頃のNHKラジオ基礎英語は、毎週土曜日が発音練習でした。毎週10分間、1つの発音記号の口の動きと舌の位置を確認します。イヤホンを使い耳元で発音記号に沿った発音を聞いた事が、今でも役に立っています。

 

英会話は、聞き取れないと会話が成立しませんから、ディクテーションが非常に重要です。自ら発音できれば、自然と会話内容が聞き取れるようになります。数ある英会話学習の本の中で、発音の基礎固めとしてお薦めします。

 

 

4.「「空気」の研究」 山本七平著 文春文庫1983年10月初版

 

空気読めよ!なんて流行語のようになっていますが、「その場の空気」に支配され発言を控えるのは日本人独特だそうです。「空気」がいかにして醸造され、各個人に染みわたっていくのかを、多くの実例を挙げつつ著者が解明していきます。154ページに次のような文章があります「空気が醸造される原理原則は、対象の臨在感的把握である。そして臨在感的把握の原則は、対象への一方的な感情移入による自己と対象との一体化であり、対象への分析を拒否する心的態度である。したがってこの把握は、対象の分析では脱却できない。・・」。スタバやパンケーキ屋が流行るのも感情移入の代物で理屈ではないのです。無理が通れば道理が引っ込む的な、極めて重い言葉です。これを逆手に取れば大企業に成長できると思うのですが、中々難しいところですね。

 

同書には「水を差す」の「水」についての研究も掲載されています。山本七平氏は「日本人とユダヤ人」という本の著者でもあります。昔読んだことがありますが、全く考えの違う人たちがいるものだと感心したことがあります。

 

 

5.「絶望図書館」頭木弘樹編 ちくま文庫2017年11月初版

 

NHKラジオ深夜便で、絶望した時に心に寄り添う言葉を紹介する「絶望名言」の番組を担当する著者。彼による国内外の12編の小説のアンソロジーが本書です。笑いを誘うような短編、推理小説から、立ち直れないほどの絶望に陥り自殺に至る悲劇まで様々です。特に、韓国小説「虫の話」(イ・チョンジュン著、斎藤真理子訳)は衝撃的。子供を誘拐され、絶望の淵に追いやられた妻。救いの手を差し伸べる熱心なキリスト教徒の隣人。死刑囚の犯人との面会。「許し」とは何かを問います。

 

 

6.「現代語訳大乗仏典3・維摩経、勝鬘経」中村元著 東京書籍

 

中村元氏は、サンスクリット語の原始仏典を日本語に訳した元東大教授の大先生で「ブッダのことば」など著書多数。維摩経はあまり知られていない仏典ですが、読んでとっても面白いお経です。

 

維摩(ゆいま)さんは、インドのある街のお金持ちの在家信者で、病気になった維摩さんを仏陀の弟子である文殊や阿難が見舞いに行き、問答を繰り広げるという設定です。衆生(一般市民)を悟りへと導く「大乗」とはいかにあるべきか。本書の前半に中村氏のわかりやすい解説、後半にサンスクリット語の完訳が掲載されています。

 

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2017年12月27日 (水)

今年のおすすめの本

今年も残りわずかとなりました。広島市立図書館からお借りした本の中から印象に残った5冊をご紹介します。

1.「鈴木大拙全集 第5巻」昭和43年9月 岩波書店
鈴木大拙氏は、大正時代から昭和40年頃にかけて、仏教と禅について英語で欧米に紹介した偉人です。著書多数。
海外で広く読まれている禅論文集「Essays in Zen Buddhism vol.1-3」のうちのvol.3の邦訳が、この全集第5巻の前半部分に掲載されています。般若心経の「空」華厳経の「発菩提心」について、わかりやすく解説されています。金剛般若経、楞伽経などの解説も。
昔の漢字と文語体で書かれているので、年齢の若い方はちょっと読めないかもしれません。時間をかけてゆっくり読むと良いでしょう。
2.「人生に生かす禅」小林義功著 致知出版社 2011年11月初版
「公案」っていう言葉を聞かれたことがあると思います。禅(臨済宗)の修行僧(雲水さん)に対して、お寺のお師匠さんが出す問題のこと。「狗子(犬)に仏性有りや無しや?」など、一般人が聞くと答えのないナゾナゾのようですが・・公案とは、雲水さんが悟りを開くきっかけをもたらすための問いかけ。
巷には、無門関を代表とする公案の解説本が数多く出版されていますが、最終的な答えが掲載されている本はほとんどありません。「自分で考えなさい」と。その中で本書は、答えの一例とその解説が一般の人にわかりやすく書かれてあり、「こういう意味だったのか!」と読んで納得できる貴重な本です。
公案すべてではありませんが、一読されると人生が一変するかもしれません。「御仏は、私たちと共に、自身の心の中にいらっしゃいます。」と、いうことのようです。(キリスト教の場合は、「神は、あなたの隣人として、常にあなたの目の前に現れます。」だったと思います。)
「義功和尚の臨済録」も、わかりやすい解説でおすすめです。前述の「狗子(犬)に仏性有りや無しや?」については、柳田聖山著「禅と日本文化」(講談社学述文庫707)の「無字のあとさき」に詳細があり納得させられます。
3.「世界を操る支配者の正体」馬渕睦夫著 講談社 2014年10月初版
著者は、元駐ウクライナ大使です。本書は、一般のメディアが伝えない世界情勢や、過去200年間の歴史の裏事情、アメリカの名を借りた国際金融勢力の目標、ロシアのプーチン大統領の思惑、日本の今後のとるべき方針などが、著者の豊富な人脈、見識をもとに詳細に記載されています。
世界グローバリゼーションの目指す最終目標とは?ロスチャイルド家、米国連邦準備銀行、ユダヤ民族の目指す世界平和などがキーワードになりますが、ページをめくるごとに、まざに目から鱗。本書を読んだ後は、世界観が変わるかも。「国難の正体」など著書多数。
4.「伝説の英国人記者が見た日本の戦争・占領・復興1935-1965」ヘッセル・ティルトマン著 加瀬英明訳 祥伝社 2016年8月初版
著者は、イギリス「デイリーエクスプレス」紙の特派員として昭和10年に来日。戦前、戦中、戦後の復興時期を経て昭和40年まで日本に滞在。「日本外国特派員協会」の会長を務め、幾多の重要人物と親交を深めます。本書は、日本の激動の30年を、外国人ジャーナリストとしての公正な視点から観察した記録です。1965年に新潮社から出版された「日本報道三十年」の復刻版です。
226事件、満州での取材、マッカーサー、吉田茂首相との思い出や、実際に著者の肌で感じた日本と、諸外国から見た印象との違いを取材当時のメモを振り返りながら、回想録としてわかりやすく書かれています。
5.「ダレス兄弟」スティーブン・キンザー著 渡辺惣樹訳 草思社 2015年11月初版
副題は、国務長官とCIA長官の秘密の戦争。第二次世界大戦末期から約10年間、アメリカ外交を主導したダレス兄弟の実話。大統領直属の政治工作部隊としてのCIAの活動の実態、気に食わない独裁国家の転覆をいかにして気づかれないように成し遂げるかを赤裸々に記載したノンフィクション。
イラン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア、コンゴ、キューバの実例6か国で解説。アメリカの行動原理、外交とはいかなるものかが、よくわかります。
また、中南米の視点からアメリカ外交を見てみるのも面白いかも・・キューバ、カストロの片腕の革命戦士「チェ・ゲバラ伝 増補版」三好徹著文春文庫もおすすめです。

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2016年12月24日 (土)

今年のおすすめの本

Library今年も残りわずかとなりました。
中央図書館からお借りした本から7冊をご紹介します。
1.「モモ」ミヒャエル・エンデ著 岩波文庫他
映画「ネバーエンディングストーリー」の原作者であるエンデが書いた童話です。「時間貯蓄銀行」の謎の行員の巧みな話術に騙され、余計な時間を失い忙しく働く人たち。遊び相手を失った孤児の女の子モモだけが異変に気付き、失われた時間を取り戻す物語です。1970年代に書かれた本ですが、時間に追われ生活する現代人のライフスタイルに一石を投じます。

2.「狼の群れと暮らした男」ショーンエリス、ペニージューノ共著小牟田康彦訳 築地書館2012年9月初版
イギリス生まれのショーンさんは、狼の魅力に取りつかれ、渡米。野性狼の住むロッキー山脈を1人で探検。飢え、狼と接触する中でできる傷、マイナス20度にもなる真冬に2年間耐えつつ、ついに狼の信頼を勝ち得て仲間として受け入れられる。狼の差し出す生肉を食べ、可能な限り一緒に行動し、野性狼の生態を身をもって会得する。イギリスにもどり自然動物園で働きつつ、農作物を荒らす狼と人間との共存について世界中に説いて回る。狼の吠え方の違いとその意味、群れの序列と役割、子育て、序列ごとの獲物を食べる部位の違いなど、野性狼の群れの中に居ないと発見できない生態に興味をそそられます。又、犬と狼は0.2%しか遺伝子の違いがないそうで、犬を飼う人にとっても犬の本能を知るうえで有益な本です。

3.「南木曽の木地屋の物語」松本直子著 未来社 2011年4月初版
木のお皿、椀、お盆などは、陶磁器やプラスチック製品に押され、最近はあまり見かけません。本書は、木地屋の伝統を受け継ぐ岐阜県南部の小椋榮一さん一家のお話です。平安時代からの職業の木地屋。日本各地の山を大きな木を求めて移動し、轆轤(ろくろ)で木工製品を作ります。一般的には、作品が世に出るには漆を塗る作業が必要で、木地屋はどちらかと言えば控えめな存在です。榮一さんの息子・正幸さんは、塗りの作業も学び、最終的な商品として仕上げ、お店で一般消費者向けに直販されています。あまり知られていない木地屋の1200年の漂泊の歴史、明治以降の定住と地元住民との交流、展示会への出品など現在の積極的な活動の数々、読んでいて興味が尽きません。
小椋さんのお店「ヤマト小椋商店」は、有名観光地・妻籠宿の近くにあります。(国道19号沿線は、名古屋在住時によく通っていましたので、個人的には親しみのある土地柄です。)
http://yama.to/profile.html

4.「むだ死にしない技術」堀江貴文著 マガジンハウス 2016年9月初版
本年3月に著者の堀江氏は、「予防医療普及協会」を立ち上げました。日本では、がん検診検診率が低く、国民全体に予防医療の認識が低い。予防可能な時期を過ぎて発症後、慌てて病院に駆け込み、高額な医療費を払った挙句、既に手遅れになるパターンが非常に多い・・と、著者。本書はとても読みやすく、がん検診や歯の定期健診を実施している私からすると、内容に共感する部分が多いです。ですが、本当に読んでほしい人は、その他大勢の「サザエさん」的な(とても日本的な)のほほーんと暮らしている、検診を受けない人達なのです。堀江氏は、「最終目標は、3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の撲滅である。」と訴えます。

5.「雪は天からの手紙・中谷宇吉郎エッセイ集」池内了編 2009年第7版 岩波少年文庫555
雪の結晶の研究で有名な中谷氏が書いたエッセイを、池内了氏が中学生向けに再編。これから理数系に進む学生さんらに、科学の楽しさを伝える一冊です。昭和10年から戦後にかけて北大に研修室を構えた中谷氏は、顕微鏡や写真機、それに一冬分の食料を馬橇に積み込み、十勝岳山頂付近の山荘で越冬。マイナス10度の気温の中で、雪の結晶の研究にいそしみます。今のようなコンパクトな機材や暖房器具がない時代での研究は、さぞご苦労があったことでしょう。エッセイの中には、雪の結晶の研究のお話や恩師の寺田寅彦氏、ノーベル賞受賞者の湯川秀樹氏のお話、若い読者に向けてのメッセージなどが二十数編収まっています。「平凡な日常の中には不思議な事がたくさんあって、それを不思議だなぁと感じる心が大切です」と中谷氏。同感です。本書のほか、著書、写真集など多数あります。

6.「マラムレシュ」みやこうせい著 未知谷発行 2000年1月初版
ルーマニアの北部、ウクライナと隣接する村「マラムレシュ」の魅力に取りつかれた著者が、人々の暮らし、風俗、風習について語ります。あまり日本ではニュースに取り上げられないルーマニアの、首都ブカレストから更に650キロ離れた辺境の地マラムレシュ。殆どの村民が羊を飼い農地を持ち半牧半農。衣食住のほぼすべてを自活し、ヨーロッパ最後の桃源郷と言われています。著者の取材は25年間にわたり、村民の心のありかを250ページにわたりレポートしています。所属する国もめまぐるしく変わり、戦後の社会主義政権も崩壊し、自由経済の波が押し寄せる中、決して裕福な生活ではありませんが、プラムで作るお酒「ツイカ」と踊りをこよなく愛し、大自然とともにに生きる村人達の様子が豊富な写真付きで紹介されていて、一度訪れてみたい衝動にかられます。終わりの章には、第二次世界大戦中のユダヤ迫害、チャウセスク政権の実態などについても書かれています。

7.「親子で学んだウィーン・シュタイナー学校」広瀬牧子著 ミネルヴァ書房 1993年12月初版
1990年に1年間、オーストリアのウィーンにあるシュタイナー学校に留学した子供二人と、その母親である著者の体験記です。テストも教科書もなく、情操教育を主に実施する学校として何度か耳にしたことのあるシュタイナー学校。今の日本から見れば夢のような学校ですが、その実際のカリキュラムと先生の教え方、保護者のサポート活動などが、母親の目を通したわかりやすく書かれています。広瀬夫妻は現在、東広島で保育園を開園され、シュタイナー教育を実践されています。日本には、相模原市に初等部から高等部までの学校法人シュタイナー学園、横浜に中小一貫校のNPO法人横浜シュタイナー学校など、全国で7校あるようです。著者の夫は、当時、広島大学の教授でシュタイナー教育の実際を学ぶために1年間渡欧し、それに家族が同伴した形で1年間だけという短期留学が認められたそうで、極めて特例だそうです。
生徒さんの立場から見た本には「私のミュンヘン日記」(子安文著 中公新書797)があります。十年生(15から16才)での羊毛の糸を紡ぐ授業(第7章)など、各年齢に応じた具体的な実習内容が詳しく書かれています。そのほか、お母さんの子安美知子さんの「ミュンヘンの小学生」ほか、関連図書多数。

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2015年12月20日 (日)

今年のおすすめの本

今年も残りわずかとなりました。
中央図書館からお借りした本から5冊ご紹介します。
1.「日本の民家」今和次郎著 岩波文庫1989年3月初版
今和次郎氏は、「遠野物語」で有名な柳田國男氏と共に全国の民家を調査した人で、この本の初版はなんと1922年の大正時代。出版社が何度かかわり、文章も読みやすくなって岩波文庫から復刊されました。
本に出てくる民家は、宿場町の町屋から全国の農山漁村など68箇所の気候風土に合わせた特徴ある家ばかり。びっくりしたのは、広島大野町の農家の間取り。私の母の実家とそっくりで設計者が同じでは?と思うほど良く似ています。住んでいる土地ごとに調達できる材料や、伝統的な間取りは決まっているんですね。宮崎県椎葉村の民家や伊豆大島、八丈島の家、大阪堺の町屋など非常に興味深い家の作りがありました。。約100年前に書かれたとは思えないほど今氏のイラストは素晴らしく、現地を訪れたい衝動に駆られます。
2.「宇宙飛行士が教える地球の歩き方」 クリス・ハドィールド著 早川書房2015年2月初版
カナダ出身の宇宙飛行士で、シャトルで2度、ソユーズで1度の計3回宇宙を往復し、国際宇宙ステーションの船長も務めた著者。NASAやロシアのスターシティーでの訓練の様子や宇宙飛行士の考え方、ソユーズとシャトルの違いなどを詳しく語ります。ハドフィールド氏が出演するカナダ宇宙庁やNASA編集のユーチューブが、ネット上に多くあります。国際宇宙ステーションでの生活の様子や、各種の実験に興味のある人はぜひご覧ください(英語です)。週刊モーニングの人気漫画「宇宙兄弟」そのまんまの感じです。
3.「リーダーシップ アメリカ海軍士官候補生読本」アメリカ海軍協会 日本生産性本部 武田文雄・野中郁次郎共著
1959年に米国海軍士官候補生に向けて書かれた本です。日本版は昭和56年第1版、2009年に新装第2版が出版されています。
リーダーシップとは?、上司、部下との関係、組織はどうあるべきか・・など。軍隊だけでなく、日本の会社組織にも十分に通用する本です。艦船での組織運営や、捕虜になった際の心構えなども掲載されていますから、関係ない章は読み飛ばしても構わないでしょう。もしかしたら、会社の管理職に昇進したら、テキストとして使用されているのかもしれません。
4.「日本人にとって聖なるものとは何か」上野誠著 中公新書2015年1月初版
副題「神と自然の考古学」。奈良大学の文学部国文学科で、主に万葉集を研究されている上野教授。
ラジオ深夜便にも定期的に出演され、楽しく解かりやすい口語訳、意訳が好評です。多くの著書がありますが、今回の新書は、日本独特の自然観、八百万の神と他国の一神教との違い、古事記、日本書紀に見る神と天皇との関係などを掘り下げていきます。広島県の神辺、佐伯などの名前の由来もわかり、本書を読むことで、古代日本をより身近に感じられるようになります。日本は歴史が長く自然災害の多い国だと実感します。
5.「中国山地 上下」中国新聞社編 1967年11月 未来社発行
昭和40年代前半の中国新聞の連載記事。後に昭和59年に続編、その20年後に再び特集を組まれています。
高度成長の時期ですが、中国地方の山村では昭和38年豪雪災害の直後。国鉄可部線が三段峡まで間もなく延伸、三江北線と南線がつながろうとする時期。国道54号線の赤名トンネルが開通し、中国自動車道が計画されようとする、今から約50年前のお話です。
三段峡のロープウェー設置計画などは実現しませんでしたが、明るい未来を夢見ていた時代です。戦後の入植者の苦労も数多く描かれていますが、先進的な試みも行われています。広島県作木村では、昭和9年に早くも西洋梨の栽培に取り組み、戦後間もなくの砂谷乳業の創業。岡山県蒜山での乳牛飼育も、ホルスタイン種に代わり、坂道に強いジャージー種を取り入れたり、山口県徳佐では、国号9号線の整備を受けて観光りんご園を開始。中国新聞社として約20年ごとに特集を組むごとで追跡調査も行われ、取り組みの成果も知ることができます。島根県匹見町のわさび栽培は、輸入品に押され頓挫。広島県神石高原の野菜栽培、高野町のリンゴの産地直送は今も継続中です。住建産業の吉和村の開発は、スキー場、美術館、別荘リゾート施設へと発展中。戦前のたたら製鉄の衰退から、炭焼きへ、炭から化石燃料へ。また、荷馬車が自動車へ、役牛が耕耘機へと転換する時期と重なります。試行錯誤しつつ、置かれた状況で何ができるか、中国5県の山村の産業の変遷を知ることができます。広島県加計町の名は、たたら製鉄で財を成した加計氏の名前が由来でした、初めて知りました。

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2015年8月12日 (水)

おすすめの本「詩に就いて」

谷川俊太郎さんの新作。映画「ニューシネマパラダイス」的な作品です。詩業に就いた谷川さんによる、詩をテーマにした詩集です。60年余りのキャリヤを持つ谷川さん。ユーモアを交えつつ、言葉の無限性が感じられる1冊です。パソコン、メールの普及により、日本語能力が迫られる昨今。理系の私としては、文章力と語彙のなさを日々痛感しています。谷川さんのように上手に言葉を紡ぐことができれば、国語も楽しいかなぁ・・と。泉のように湧き出る言葉、谷川さんってご飯食べなくってもいいかも。思潮社、2015年4月初版。

本日水曜日、土曜日も含めまして、お盆休みはありません。午前10時から午後10時まで通常通り営業します。皆様のご来店を心よりお待ちしています。遠方よりご来店のお客様は、道中熱いので、お気をつけて。
Tanigawasan

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2015年3月 8日 (日)

おすすめの本「パンの文化史」

Funada

ちょっといい本がありましたのでご紹介します。
「パンの文化史」舟田詠子著 講談社学術文庫2013年12月初版
ウィーン在住の著者が、世界各地の博物館や遺跡を旅してまとめた、パンと人類の5000年の歴史の本。時代ごと地域ごとのパンの材料、焼き方、燃料と窯の変遷などを丹念に追った内容。写真も豊富でわかりやすい文章です。
現在は、ガス窯や電気オーブンなど便利な製品が普及していますが、それ以前はパンを焼く作業は重労働だったようです。薪の準備、窯の温度管理などを考えると、頻繁に焼いても

 

2週間おき、アルプスの村など雪に閉ざされる地方では年に数回など。また、殻の固い麦の製粉作業も重労働。貴重な小麦の使用はクリスマスなどの年間行事に限られ、普段はライ麦、燕麦などを使用していたことなど。今の日本のように、焼きたてパンが毎日食べられるなどというのは歴史的に見ても稀有な現象のようです。
先週の産経新聞の書評欄の記事に、「100年後の読者に耐えうる近代小説があるのだろうか?」という早稲田大学教授の文章がありました。本書は小説ではありませんが、数百年は十分耐えうる内容と確信します。「パンは、皆で分かち合うもの」この言葉が心に沁みてきます。

 

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2014年12月24日 (水)

今年のおすすめの本

今年もわずかとなりました。
中央図書館からお借りした本の中から5冊をご紹介します。
1.「造船の技術」池田良穂著 サイエンスアイ新書 SBクリエイティブ 2013年10月初版
著者は、大阪府立大学工学部教授です。何万トン級の巨大船の作り方が、始めから終わりまで順を追って優しく解説されています。実際の現場のカラー写真を見ると、日本の技術力の高さに、思わずへーとかホォーとか、うなってしまいます。感心することばかりで目から鱗!自動車工場なら、なんとなく作り方が頭に浮かびますが、造船所は正直あまり馴染みが無いので、初めて目にすることばかり。工場はあまりにも巨大ですし、ごく普通の一般市民なら海岸線の道路から遠く造船所を眺めるだけ。
日本は資源を輸入に頼っていますし、いくら飛行機が発達しても、船の輸送力にはかないません。一度手に取ってご覧になることをおすすめします。
2.「ホーキング、宇宙のすべてを語る」スティーヴン・ホーキング レナード・ムロディナウ著 佐藤勝彦訳 ランダムハウス・講談社 2005年9月初版
早川書房出版のベストセラー「ホーキング、宇宙を語る」を、一般向けにわかりやすく書き直した本。サイエンスライターのムロディナウ氏が執筆に加わり前作よりも格段にわかりやすくなっています。数式も1つだけしか出てきません(E=mcの2乗)。最終章には、最新のひも理論のさわり部分も出てきます。宇宙に興味のある中学・高校生は是非ご一読を。
(物足りないようでしたら前作を。)両作品を読んで、地球型惑星に知的生命体が存在するのは、とてもまれな確率でしかないことを実感します。例えばこんな記述が・・銀河系の中心部には恒星が多くありますが超新星爆発も多くあります。そのため、仮に知的生命体が発生したとしても、その超新星爆発による被害を受ける確率も多くなります。太陽系は、銀河系の端に位置するのであまり被害を受けていません。(第8章より要旨)
「ホーキング、未来を語る」(同著 アーティストハウス・角川書店)もあります。大学レベルです。難しすぎて、途中で挫折しました・・。
3.「ファインマン物理学」全5巻 砂川重信ほか訳 岩波書店
 1巻.力学 2巻.光 熱 波動 3巻.電磁気学 4巻.電磁波と物性 5巻.量子力学
R.P.ファインマン(1918~1985)、アメリカの物理学者であり、1965年のノーベル物理学賞受賞者。学生時代にマンハッタン計画に参加し、原子爆弾の開発製造に関与しています。本書全5巻は、ファインマンが1960年代にカリフォルニア理工科大学の1.2年生を対象にした物理学の講義内容(の録音)を、教科書にした英語の本の訳書で、おおよそ400ページが5冊あります。演習問題は何もやりませんでしたが、5巻読むだけで半年かかりました。今から約50年前の、原子の内部構造解明中だった発展途上の時代の(夢のある時代の)講義ですが、理科や物理に興味のある人はぜひとも、ノーベル賞受賞者の講義を擬似体験されてみてはいかがでしょう。 
おすすめ理由・・録音内容を活字にしているので、教科書らしくないです。難しい数式は全部飛ばして、文章の流だけ読んでいても面白い。人間味のあふれるファインマン氏のユニークな話、横道や脱線の数々、数学者と物理学者と化学者の考え方の違いなど、挙げればキリがありません。他の教科書とは一線を画します。基礎物理の電子1個、原子1個の振る舞いを計算しつつ、それでいてファインマン氏の幅広い見識を基に、宇宙観測までの広範囲への応用を紹介し、読者の夢を広げてくれます。ただし、最初の講義から順を追ってゆっくり時間をかけて読むことをおすすめします。本の途中から読むと、氏独自の数式の略号や解決方法、演算方法が出てきますので理解が難しいです。
4.「図説 遠野物語の世界」石井正己著 河出書房新社 2000年8月初版
有名な柳田國男の「遠野物語」に登場する地名、山や川などの風景、各家や寺社での行事の様子などを、写真とともにわかりやすく解説されています。自店には、現代口語訳の読みやすい本が置いてありますが、それでも今から100年前の東北の村のお話なので、文章を読んだだけではわからないことが多く、図説の本書を手元に置くことで遠野物語の理解が格段に深まります。くるくる回る炭取り、音が出る釜、石臼、行事で使う藁の人形、各家に祭られている神様、田植えを手伝うオクナイサマ、子供と遊ぶ阿修羅様やカクラサマ、火事の火を消すゴンゲ様の写真など、正に「百聞は一見にしかず」です。自店出店前の会社員時代(東京在住時)に、レンタカーで東北旅行をしたことがあります。岩手から宮古に向かう途中の国道沿いで、遥か遠方の早池峰を眺めたことがあります。奥深い山で、あまり姿を見せない山です。日程が短かったので遠野には寄れませんでしたが、広範囲の地域のお話なので観光するには、落ち着いて連泊して見て回るくらい余裕が必要でしょうね。
5.「ロダン」アントワヌ・ブルデル著 清水多嘉示・関義訳 筑摩書房1968年8月初版
著者ブルデルは、「考える人」で有名なロダンの弟子。のちに著者自身も独立し、立体作品を多く残しています。ロダン本人の名言を記録した本は多くありますが、本書はロダンの造形の本質を、弟子の視点から書いた本です。著者の原稿のほか、講演会の内容、ロダンとの往復書簡など。「星の王子様」の著者サン・テグジュぺリと同じ時期を過ごした人物です。フランス人って、詩人だなぁと強く感じました。
82ページ「・・・自然がいたるところに美をばらまいている・・泉に較べ、大河に較べ、パンの出来る麦に較べて、より美しいというものにどんなものがあるだりう?果実を重そうにつけた枝のある果樹園より美しいものがあるだろうか?
人間にとって第一に必要なすべてのものは、何によらず美しいものだ。」
55ページ「ロダンは、身近にあるものーー花や樹や動物や静物ーーをなんでもかまわずにたくさんスケッチした。」
137ページ「芸術と技術と神は、唯一のものを形づくり、すべての形体のもとにある精神もまた一つである。ソクラテスも、フィディアスも、ベートーベンも、同じ高さの人々である。
仏陀も、オルフェも、キリストも、唯一なものをこしらえあげた人たちだ。・・唯一のものの中に無数のものをまとめあげて行くことが美を作り出すことで、また、力を集中統一することが神の顕現を現すものである。」

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2014年5月15日 (木)

おすすめの本「アフリカの「小さな国」」

サッカーのワールドカップブラジル大会まであと1ヶ月です。
昨年の6月に試験的にお作りしたブラジル練乳プリンが好評で、欠品することなく丸1年。すっかり定番メニューになりました。お客様の未知なる食べ物への欲求はすばらしいです。日本の予選対戦相手は、コロンビア、ギリシャ、コートジボワール。コロンビアは、お馴染みなのはコーヒーですね。自店でお出ししているブラジルコーヒーに近い味で、少し強めでエネルギッシュな情熱的なコーヒー。昔(今もあるのか?)サンタマルタっていうサンマさんがCMをやっていた缶コーヒーがありましたが、とても美味しくコロンビア豆の特徴の良く出ている缶コーヒーでした。ギリシャは、オリーブオイルを使った地中海料理が有名。そこで今回は、コートジボワールのお菓子が出来ないかなぁと、日曜日に図書館で調べてきました。
Cotedivoire 表題の本は、大林公子著 2002年3月初版 集英社発行。
副題「コートジボワールで暮らした12ヵ月」。著者が現地で1年間暮らした経験談です。衣食住から治安、文化、医療、交通事情など、暮らしてみないとわからない貴重な現地情報満載。コートジボワールは、ギニア湾沿岸国でガーナの西隣。湾岸諸国の中で最も資本主義の発展している国だそうで、元フランス領。実質の首都アビジャンの人口は約250万人。写真を見ると、広島より大都会です。

食べ物情報
(主食)
アチェケ・・キャッサバの粉をふかしたもの。
フゥトゥ・・キャッサバとバナナプランタン(加熱加工用)を、茹でて臼でついてお餅状にしたもの。
フゥフゥ・・バナナプランタン、またはヤムイモを茹でてついたもの。
アロコ・・バナナをスライスして油で揚げたもの。トマトソースなどをかけて。
トマト、アフリカナス、オクラ、ピーマン、パーム椰子の実など、ソースだけでも10種類以上紹介されています。
(その他料理)
ブレゼ(魚や鶏肉の丸ごと炭火焼)
エビ、カニ、カタツムリ、アグチ(野ねずみ)など。
(果物)
マンゴ、パパイヤ、マンゴスチン、パイナップルなどトロピカルフルーツが豊富なので、デザート類としては生のフルーツを食べるようです。ジュースとして、パッションフルーツジュース、ビサップ(乾燥ハイビスカスとミントと砂糖を混ぜて煮立てたものを冷やす)、ニャマク(生姜)ジュースなど。

コートジボワールは、漠然とした国の名前と、カカオの産地という程度しか知りませんでしたので、良い勉強になりました。ミントやカタツムリが登場するあたりがフランスっぽいですね。加工用バナナは手に入らないので、残念ながらお店でのスイーツ作成は、無しということで・・。

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2014年2月 8日 (土)

天然の原子炉

2月2日(日)夜11時からのRCCラジオ番組「エネルギッシュトーク」。
2週間にわたって原子力発電所の廃炉と放射性物質の地層処分のお話がありました。地層処分の期間は放射性物質の半減期を考慮し、10万年の長期管理が必要ですが、人間の管理できる年数はせいぜい200年から300年にすぎません。それよりも、地球の持っている力、安定した地層に任せたほうがはるかに長期管理に適するという内容でした。一例として、アフリカ西部のガボン共和国オクロ鉱山にみられる天然原子炉のお話があり、興味深い内容でしたのでご紹介します。
今から10億年前に、地層深く埋まっていたウランが地下水にのって地下深く一箇所に集合し、臨界に達し、核分裂反応を起こしたというのです。反応は断続的で、発生した熱で地下水が水蒸気に変わり中性子を吸収し、核分裂反応を減速させます。反応速度が遅くなると、熱が冷め水蒸気が水に戻ります。すると、再び中性子が増え発熱するという繰り返し。いくつもの条件が偶然に重なった結果だそうですが、このときの核分裂反応で発生した放射性物質は、10億年もの長期間、外部に漏れることなく現在に至っているそうです。人間の管理能力をはるかに超えた安定性が、地層処分によって確保される好例だそうです。
偶然にも1日前の2月1日に中央図書館でお借りした本の中に、このガボン共和国オクロ鉱山の話が20ページにわたり詳しく説明されていました。ご興味がおありでしたらご一読ください。
「宇宙の定数」J.D.バロウ著 青土社 2005年初版 276から296ページ 

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