今年のおすすめの本
今年は連載ブログ1本と本一冊をご紹介します。
1.玉村豊雄氏の未発表の書き下ろし作品『ブドウ畑の傍らで暮らす』全10回配信
画家、ワイナリーオーナー、エッセイストなど多方面でご活躍の玉村豊雄氏。上記本はいくつかの出版社に持ち込むも「ワインの本は売れない」との理由で断られてしまい、未発表のままの作品。玉村氏の連載ブログに不定期に全10回で配信されています。ワインの成り立ちから日本のワイン事情などワインにご興味のある方は是非ご覧いただけたらと思います。
http://blog.livedoor.jp/tamasandiary/archives/43478429.html
2.『食の考古学』佐原真著 東京大学出版会 1996年10月初版
小中学校で日本史を習う時、先生から最初に教わるのが縄文時代、続いて弥生時代、古墳時代と学習します。縄文では埴輪や火焔土器、弥生では大陸から稲作文化がもたらされお米を食べるようになりました。まぁ、これくらい足早に通り過ぎなければ、3学期に現代史までたどり着けません。
近年の考古学では、土器の中にある穀物の残渣を分析すると何を煮炊きしていたのか、またトイレの糞便の分析により当時の食事内容が大方わかるそうです。土器の発掘される地層の花粉の分析結果から針葉樹と広葉樹の比率がわかる。そこから、縄文時代ではヒラタケが主に食され弥生時代になってから広葉樹の伐採が始まり、針葉樹・アカマツが増え始めマツタケが出回り始めたそうです。弥生時代までは中国からもたらされた家畜化された大型の豚を飼育していたが、平安時代以降は飼育の痕跡がなくなる。鶏については、番いで飼育されていたものの玉子や鶏肉を食べた習慣はないそうです。稲については、従来は中国大陸から温帯ジャポニカ種がもたらされたといわれていました。ところが、稲の化石である「プラントオパール」を調べると、温帯ジャポニカ種よりも前に一回り大きい「熱帯ジャポニカ種」が南洋から弥生時代早期にまず入ってきたという説が有力のようです。
骨や歯のエナメル質の分析から栄養状態、足の骨の一時的な発育の停止がわかる陰影線「ハリス線」から乳幼児期の病気の状況がわかるそうです。概して縄文人は、肉食を控えた江戸時代よりも栄養状態に富み、寿命は短いものの、山の幸・海の幸を上手に食に取り込み、豊かな生活を送っていたようです。著者は大阪出身、ユーモアにあふれた楽しい文章で最新の考古学を垣間見させてくれます。
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