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2015年9月15日 (火)

栃餅の作り方

民俗学者の宮本常一さんの著書「宮本常一著作集23」の141ページに、栃餅の作り方が掲載されています。1976年10月初版 未来社発行、副題は「中国山地民俗採訪録」。
取材日は昭和14年11月29日。場所は、広島県山県郡戸河内町本横川、今の安芸太田町。広島島根の県境、恐羅漢スキー場のふもとで、上田九平さんからの伝聞。恐羅漢スキー場は、地元広島で最も急峻な上級者向けスキー場で、私が学生時代に5年間合宿を行ったホームゲレンデです。戦前の中国山地の暮らしぶりを調べようと図書館で借りた本に、偶然に栃餅の記述を発見しました。
古来、栃の実は、田畑の耕作に不向きな山村の貴重な山の幸として、収穫した実を手間暇かけてアク抜きし、お米と物々交換したり、もち米に混ぜて量を増やしたりして使用しました。現代では観光地のお土産品として販売されていますが、簡単にアク抜きはでませんし、味も好んで食べる様な美味しいものではありません。そのことを十分にご承知の上、ご興味のある方はアク抜きにTRYしていただきたいと思います。
以下、文章を箇条書きにして作り方を記載します。
1.栃の実を桶に入れ、川に漬ける。3日から4日。虫を殺す。
2.天日で3日位乾す。
3.囲炉裏の上の天井の竹の簀(す)の子に並べ、乾す。(囲炉裏の熱で乾燥させる。)
4.食べようと思うときに栃の実を下ろし、桶に5升量って入れ、熱い湯をかける。
5.夜、ヘシというもので剥く。
6.翌朝、すすいで鍋で温めて槌で石の上で叩いて平たくする。
7.栃5升なら、囲炉裏の灰5升をとり、カンカン桶(石油缶)の底に穴をあけたものに籾殻、灰を入れ、水を注いで灰汁をとり、灰汁の中に栃の実を1日漬けておく。
8.汁を捨て(缶ごと)川へ漬けて三日位さらす。これで初めて苦みが去る。
9.先の灰のかすを捨てないで湯にかけると、また灰汁が出る。その汁に、苦みのなくなった栃の実をいれると栃はやわらかくなる。それで上げてまた洗い、もち米をいれて蒸し、餅につく。
10.栃は1升で生で100個、かれた(囲炉裏の上で乾燥させた)ので150個ある。5升の実をむくのに2時間かかる。栃餅を食べると米が大変助かるので、もとは何俵というほど拾って貯えておいたものである。

工程5.のヘシ・・2枚の木板で栃の実を挟み、てこの原理で皮をむくこんな道具。
工程7.のカンカン桶の記述について・・
石油缶(=灯油の一斗缶)の底に、水が通るような小さな穴を開けた入れ物。籾殻は穴をふさぐ意味でしょう。一晩漬けた後、灰汁を別な容器とっておき、栃の実だけ入れた缶を川の流れに漬けて3日間放置。水の流れで栃の実を洗うようにしてあく抜きをしますが、水流で壊れないような頑丈な入れ物が必要だという意味と考えられます。

自店BLOGの関連記事です。ご参考までに・・
栃の実のあく抜き実験野本寛一氏の本「栃と餅」のご紹介

9月16日追記・・
「中国山地(上)」(中国新聞社編 1967年11月初版 未来社発行)の冒頭部分の写真。広島県芸北町八幡(今の北広島町)の飢饉に備え、屋根裏につるした俵。アワ、大豆、そば、モミ、ヒエなど。乾燥させた栃の実も、将来の飢饉に備え、山村では備蓄していたようです。八幡樽床地区の伝聞は、宮本常一氏の本文中にも登場します。ご参考までに・・

Tawara

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