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2014年12月 3日 (水)

次世代の原子力発電「高温ガス炉」

11月30日付け産経新聞の記事に、実験中の新しい原子力発電の記事が掲載されていました。
高温ガス炉・・原子炉の熱を用いて高温ガスを発生させてタービンを回します。
水を用いないために内陸に設置できる、固有安全性を備えているなど様々なメリットがあるようです。記事の中には、記載されていませんが、過去に火力発電の自動制御に携わった経験者として次のことを追記します。福島の事故後の安全策として、遠方に第二中央制御室を設け、万一の際に安全に停止できるようする旨が盛り込まれましたが、現場サイドからすれば机上の空論(ナンセンス)です。まず、何重にも制御方法を重ねる(冗長化する)と、緊急停止時の動作確認作業の項目が膨大になります。従来のボイラーを設置した蒸気タービン発電は、ボイラー制御自体が複雑です。原子炉発電装置自体が、ご紹介の高温ガス炉のような単純な装置であるほうが、安全面で極めて有利です。また、原子力発電の寿命を40年に設定しているようですが、制御装置の寿命はせいぜい10年。原子炉が存続する間に制御装置の入れ替え(リプレース)が必要になります。中央制御装置の二重化安全策を採用していると、システム相互の通信が複雑すぎて、入れ替え時にヒューマンエラーを誘発します。技術革新の進歩、設備入れ替えの必要性は、今から40年前の身の回りの家電製品を思い出してみるとよくわかります(電話はアナログの黒電話だったはず)。今回の高温ガス炉が、早急に実用化されることを期待します。

個人的には、現存する化石燃料は使い道を航空産業に限定し、使用できない重油等の成分は航空以外の用途(例えば非常用発電設備)に使用。地上での電力発電設備には、原子炉を存続させるのが望ましいと思います。今の技術では、原子炉が搭載できる輸送手段は船や潜水艦まで。飛行機は重すぎて飛べませんし、安全上も問題。世界の経済活動は、飛行機が消えたら麻痺してしまいます。

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