集中豪雨の起きやすい地形
広島の土砂災害から一ヶ月が経過しました。
今日も夕方から強い雨が降っています。
図書館からお借りした気象レーダーに関する本で、興味深い文章を発見しました。
「気象レーダーのみかた・インターネット天気情報の利用」
元気象庁長官の立平良三著 東京堂出版 2006年4月初版
一連の災害報道の中で、「バックビルディング現象」と言う聴きなれない言葉が出てきたので調べようとお借りした本ですが、ちょうど10年前の2004年7月に発生した日本海側集中豪雨の解説の中で、既にバックビルディング現象という言葉が出てきています。現象そのものは既に多くの解説がなされていますので省略しますが、集中豪雨が発生しやすい地形として、93ページに次のような文章が記述されています。
「新潟福島集中豪雨および福井豪雨・・西北西から東南東の走向をもつ対流性エコーで、その風上端(西北西端)は海上に位置している。・・降水強度が最も強い部分は、・・海岸線よりやや内陸へ入って山岳地帯に差し掛かったあたりである。」
対流性エコーとは、積乱雲のレーダー反射のことです。数年前に発生した島根と鳥取県境の(日本海側の)大山での集中豪雨も、この地形にそっくりです。
一方、太平洋側についてですが、2004年6月の静岡県伊豆地方での集中豪雨の解説の中で、99ページに次のように記述されています。
「日本海側の豪雨は西北西の場で発生しているが、太平洋側では南西から西南西の場で発生していることが多い。・・エコーの風上端(西南西端)はやはり海上に位置していると見ることができ、やや陸地に入り込んだあたりから強度が増している。」
広島でニュースを聞いていると、可部という地名はアメダス観測地点の雨量計の測定結果で強い雨を観測した場所としてよく登場します。広島湾から太田川をさかのぼった山際。ちょうどこの地形が「南西方向に海(瀬戸内海)があり、北東方向に山(白木山)」という地形に一致しています。
地形的な観点から、集中豪雨が起こりやすい場所はおのずと決まっているということになります。ちょうど、豪雪地帯や真夏の最高気温を更新する場所が決まっているように。日本地図を広げますと、何処とは申しませんが思い当たる箇所が何箇所か見あたります。いい加減のことを言うといけませんので、BLOG読者の皆様ご自身で、お住まいの地域の地形をご確認いただけたらと思います。
「備えよ常に!」どうぞご安全に。
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