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2014年4月 5日 (土)

95度とジャンピングと国内産紅茶・・・

先週、NHKテレビの朝の番組で磯淵氏による紅茶の特集がありました。テレビを見たお客様から、同じようなご質問が連続してありましたのでまとめてみました。

1.紅茶の適温は95度ですか?
仮に95度がいいとしても、一般家庭で温度をどうやって測ったらいいのでしょうかしら?困りますよね。主旨は、お湯の中の溶存空気が必要なので、沸騰手前で沸かしすぎないこと!って言う意味ではないでしょうか。私はいつも「紅茶の適温は100度です。」ってお答えしているのですが、長時間グラグラと沸騰させても100度に変わりはありませんので、テレビで「100度です!」と言ってしまうと、視聴者の皆様の誤解が生じます。湯中の酸欠を防ぐ意味で「100度手前でいいですよ。」という意味だと思います。

2.家で紅茶を淹れてもジャンピングしないんですけど・・
ジャンピングをしなくても、気にすることはありません。乾燥した茶葉が水分を含むと、予想外に大きく広がります。ティーポットの中のお湯が対流して茶葉を動かすと、お湯の中の溶存空気が茶葉にひっついて浮き輪の役目を果たし、茶葉が広がりやすくなります。茶葉の運動を妨げないように、ティーポットの中の空間を確保してください。テレビは映像を伝える手段です。ジャンピングは、番組制作者(ディレクター)の側から非常に都合がよく、短時間で一目瞭然!視聴者の納得を得やすい手段なのです。それよりも、ティーポットの予熱の方が数倍重要です。予熱は目に見えませんから、ジャンピングとは正反対。テレビという媒体と相性が悪いのです。

3.国内産紅茶の取り扱いは?
自店でのお取り扱いはありません。国内の緑茶販売が低迷しているので、代わりの商品として紅茶を製造しているにすぎません。「紅茶、ウーロン茶、緑茶は同じツバキ科(カメリアシネンシス・・ナントカカントカ・・)の仲間で・・」と、よくお客様同士でお話されていますが、それは紅茶教室での「知識」としてのお話。「農産物」の育成には、その土地の気候風土が大きく影響します。機械を輸入して紅茶を製造したところで、「製品」にはなりますが、未だ「商品」には及びません。日本での栽培茶葉が中国種であるのと、日本国内の人件費が高いのとで、緑茶生産者はダージリン様の高品質高単価の紅茶の製造を目指しているようです。今しばらく様子見ということで。

テレビ番組は、短時間でインパクトのある言葉や映像を好みます。視聴者も番組内の印象的な断片しか覚えないのです。私が「テレビ番組の中で、どなたがお話されていましたか?」とお尋ねしても、どなたも「わかりません。」という答え。殆んどのお客様は「NHK、95度、ジャンピング、国内産紅茶」しか覚えていませんでした。

ご参考までに・・愛知県の紅茶専門店リンアンさんが色々と実験されています。
予熱について・・http://liyn-an.jp/howtoaffuse/Temperature.html
ジャンピングについて・・http://liyn-an.com/tea_room/mag/club-bak/m0000024.htm

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コメント

 そう言えば昔、イギリスの論文に「紅茶のジャンピングによる効果はない」と結論づけたものを見つけたいへん驚いた覚えがあります。

 あまり表には出てこないですが、調理の常識を科学で検証する試みにはおもしろい物がたくさんありますね。「肉は強火で表面を焼き、うま味を閉じ込める」も現在では間違いだと判明していますし、以前も書かせてもらいました水道水よりペットボトルの水の方がリスクが高い場合が多いという話も、意外に感じる人が多そうです。

投稿: Yosh | 2014年4月 6日 (日) 02時06分

Yoshさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
ほとんどの皆さん、権威ある人のお言葉を鵜呑みにして、自分で色々実験をして確かめるということをあまりしませんね・・。
昨日、マンデリンのコーヒ-を買いにニシナヤさんに行ってきました。(店長さん、お話好きなのには閉口しますが・・)明後日、クッキングスクールでコーヒーの授業を行います。そのとき、毎回出る質問に、抽出温度が低かったら?(温度が高かったら?)っていうのがあります。私の答えは・・「おうちカフェならご自身が好みの味だったらOK。家族の人が飲むのであれば、その愛する人の好みの味だったらそれでいいです。飲食店でしたら、お客様がコーヒーを飲んで納得して、その対価としてお金を頂けるならそれでいいです。専門店だったら、産地のキャラクターがコーヒーに十分に反映されてコーヒー通の人が納得されればいいです。これといって正解の温度はありません。少なくとも抽出したコーヒーの味が毎回安定するまで、最低でも半年は修行してください。」と、お話します。

投稿: 10時3時の店長 | 2014年4月 6日 (日) 11時15分

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