天然の原子炉
2月2日(日)夜11時からのRCCラジオ番組「エネルギッシュトーク」。
2週間にわたって原子力発電所の廃炉と放射性物質の地層処分のお話がありました。地層処分の期間は放射性物質の半減期を考慮し、10万年の長期管理が必要ですが、人間の管理できる年数はせいぜい200年から300年にすぎません。それよりも、地球の持っている力、安定した地層に任せたほうがはるかに長期管理に適するという内容でした。一例として、アフリカ西部のガボン共和国オクロ鉱山にみられる天然原子炉のお話があり、興味深い内容でしたのでご紹介します。
今から10億年前に、地層深く埋まっていたウランが地下水にのって地下深く一箇所に集合し、臨界に達し、核分裂反応を起こしたというのです。反応は断続的で、発生した熱で地下水が水蒸気に変わり中性子を吸収し、核分裂反応を減速させます。反応速度が遅くなると、熱が冷め水蒸気が水に戻ります。すると、再び中性子が増え発熱するという繰り返し。いくつもの条件が偶然に重なった結果だそうですが、このときの核分裂反応で発生した放射性物質は、10億年もの長期間、外部に漏れることなく現在に至っているそうです。人間の管理能力をはるかに超えた安定性が、地層処分によって確保される好例だそうです。
偶然にも1日前の2月1日に中央図書館でお借りした本の中に、このガボン共和国オクロ鉱山の話が20ページにわたり詳しく説明されていました。ご興味がおありでしたらご一読ください。
「宇宙の定数」J.D.バロウ著 青土社 2005年初版 276から296ページ
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