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2013年9月13日 (金)

香りのする文章

RCCラジオの日曜日午後11時半からのラジオドラマの番組「文学の扉」。
9月1日のゲスト、落語家の林家正蔵師匠が次のような話をしていました。
「昔、先輩から「お前の話(噺)の中には情景描写はあっても香りがしない!」と叱られた。江戸の香りがお客様に伝わってこないと。勉強しろ!と2冊の本を紹介された。実際に2冊を読むと言葉の端端から江戸の香りがプンプンしてきます。時代小説を書く作家さんは何人もいらっしゃいますが、香り立つ文章を書ける作家は今はいない・・」
その2冊とは・・
芥川龍之介「鼠小僧次郎吉」
谷崎潤一郎「お艶(つや)殺し」

香りのする文章というのがどういうものか、少し興味が湧きました。文章の書き方なのか、語彙なのか、食べ物主体の噺なのか、お茶屋さんの場面なのか・・
師匠が番組の中で紹介した2冊の本を実際に図書館から借りて読んでみました。
どちらも大正時代初期の作品。
「増補新版 ザ・龍之介 芥川龍之介全1冊」 第三書館発行 2000年初版
(小さな活字で印刷されている定価2000円の本で、全作品を読むことが出来ます。)
「谷崎潤一郎文庫第六巻」 六興出版発行 昭和48年

芥川は国語の授業以来、谷崎は初めてでした。「お艶(つや)殺し」は、過去に何度もお芝居になった有名なお話でした。普段、時代小説はあまり読まないので、現代の作品と比較するのは困難ですが、読んだ感想は・・
現代では使われない文章の書き方や台詞が多用されている。
漢字が多いので短編のわりに密度が濃く、読後感が充実。
少なくとも速読、使い捨てするような現代小説ではなく、繰り返し読むに耐えうる小説です。ただ、小説と落語では同じことは出来ないのでは?と。谷崎文庫は、巻末に注釈があり、わかりにくい語彙の解説がありますが、これは本という媒体で、読みながら注釈をそのつど参考にできるから。落語の噺のなかで同じことをしようとすると、お客様が不勉強だと内容についていけなくなります。

お店のお客様との会話で、紅茶の香りを説明しようとするときや、このBLOGで文章を書こうとするとき、いつも頭を悩まします。ワインソムリエを真似て表現方法や語彙を増やしたとしても、お客様の普段の会話とかけ離れた言葉では伝わらないだろうし、「花のような香り」なんて簡単すぎるのもどうかなぁと。「これ!」ってぴったりと一致する語彙がすぐには思い浮かばないことが多いです。お客様との会話の中で話が弾んで見つかることも多いのですが、香りの奥深い領域の会話が出来るお客様も広島では少ないのが現状です。そういう意味で、常連のOさんやKさん、Wさんには大変お世話になっています。いつもありがとうございます。

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