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2011年6月14日 (火)

「極める!紅茶学」第1回 ティーポットの予熱

「極める!紅茶学」の第1回の放送の中で、ティーポットの予熱について磯淵氏がたいそう難しそうなお話をしていました。
今回のお話のベース英国王立化学協会の「一杯の完璧な紅茶の入れ方」では、
「湯が沸くのを待つ間、4分の1カップの水を入れた磁器製紅茶ポットを電子レンジに入れて1分間最大出力でチンする。やかんのお湯が沸くのと同時にチンしたポットからお湯をあけているように行動を同期させる。」だそうです。
「同期」させる??なんて、考えるだけで難しい。聞くだけで紅茶を作るの大変そうよ・・って思います。これでは紅茶普及に逆効果ですね。予熱が非常に重要で、おいしい紅茶の決め手であることには違いないです。そこで、ちょっと実験してみました。
今回の実験で使ったのは・・・
ティーポットは陶器製。重さは蓋無しのポット本体のみで330グラム、蓋と本体が一緒だと400グラム。蓋って結構重いですね。容量は満水で500cc程度。ポットは、電子レンジに入れるので、ひび割れなどないかよく確認しましょう。
電子レンジは、パナソニックビストロさんA300、最大700Wです。
ガスは、広島ガス(都市ガス13A)。プロパンの場合は、火力が都市ガスよりも強く、沸騰するまでの時間は、もう少し短くなると思います。IHは経験がないので?です。
水は、水道水です。たぶん温度は20度くらいです。

1.記述内容そのまま・・4分の1カップだと、約50cc。水を入れてポットをレンジへ。700Wのレンジに1分間かけますと、陶器部分、持ち手部分もかなり熱くなります。ヤケドするほどではないですが、不意に何も考えずに持つと「熱ッ!」と、無条件反射で手を離すかもしれないのでお気をつけてください。ポットの中のお湯の温度は、だいたい70度くらいになっていました。想像以上にポットの予熱ができています。たぶん「4分の1カップ」という水の量がポイント。あまり多いと湯温が上がりませんし、逆に少ないと沸騰して危険です。水温が低い冬は、1分よりもう少し長めがいいでしょう。

2.ポット4分の1まで熱湯を注ぎ、30秒放置・・英国王立化学協会の「一杯の完璧な紅茶の入れ方」の後半部分に記述されている方法です。熱の移動には結構時間がかかるもの。30秒だと熱が十分に伝わらず、心持ち短いような気がします。また、より良い代替案として記載されている、「紅茶ポットに4分の1水を注ぎ、1分間最高出力でチンする」は誤訳です。記述通りに「ポットに4分の1」だと、水の量は125cc。水が多すぎて、40度くらいにしか湯温が上がりません。正しくは「紅茶ポットに4分の1カップの水を注ぎ」です。原文では「Add 1/4 cup of water to the pot and microwave on full power for a minute.」です。

3.ポット2分の1まで熱湯を注ぎ、1分放置・・10時3時のお店の方法です。2.の場合よりも、当然、ポットは熱くなりますが、1.の電子レンジほどではありません。

4.ポットを熱湯で満水にして・・ネット検索すると様々な方法があります。
例えば、リンアンさんのHP。満水にする方法だと1分間で電子レンジの場合と同等の予熱ができます。(持ち手部分は熱くなりません)捨てるような熱湯がたくさんあればいいのですが、エネルギー使いすぎかも。時間、水、火力を無駄にしないようにとの記述もありますので、今回は却下ということに。

5.360ccの水道水が沸騰するまでの時間・・だいたい3分半でした。

予熱方法は、1.が最もティーポットが熱くなるようです。
そこでティーカップ2杯分の紅茶を作る方法をまとめてみますと、次のようになります。これで「同期」するはず。
1.やかんに、水道水360ccを入れ、強火のコンロにかけます。
2.2分待ちます。待っている間に、「何の紅茶を飲もうかなぁ」と決めておきます。
3.2分経過後、ティーポットに50ccの水を入れ、電子レンジ700Wで1分加熱。チン!と加熱が終わったら、やけどに気をつけてポットを取り出し、中のお湯を捨てます。(または、マグカップに移してマグを温めておきます。)せっかく温まったポットが冷めるので、すばやく次の動作を。
4.ティースプーン2杯(3グラムかける2)の茶葉をポットに入れると、ちょうどやかんのお湯が沸騰している頃です。98度(沸騰直前)で火を止め、熱湯360ccを高い位置からポットに注ぎます。この温度98度が適切だと、ポット内のお湯の表面に茶葉が浮かぶそうです。ご確認ください。
5.軽くかき混ぜ、ポットの蓋をして3分待ちます。ティーコージがあれば使用します。なければ、タオルなどでティーポットをおおましょう。
6.温めておいたマグカップに、お好みの量のミルクを入れておき、茶漉しを通して紅茶を注ぎます。美味しいミルクティーの出来上がり。

5.で軽くかき混ぜるのは、茶葉が開くのを促す役目です。茶葉同士を離すことで、水分を吸った茶葉が広がりやすくなります。先週のクッキングスクールの紅茶の授業での質問にもありましたが、「ジャンピング」は、「ジャンプ」そのものが目的ではありません。お湯の対流にあわせて無理なく茶葉がお湯の中を動くことで、茶葉が十分に広がります。特に、大きな葉っぱ(オレンジペコ)が広がるには、ある程度の空間の確保が必要です。「空間が確保され、茶葉が十分に広がった」その結果として、紅茶の香り、味などの成分(美味しさ)が抽出されるのです。

PS・・磯淵氏の本「紅茶の教科書」(新星出版社、2008年初版)にも、今回の紅茶の淹れ方が掲載されています。208から211ページに、電子レンジを使ったティーポットの予熱について、「ポットの4分の1まで水を入れ・・」と記述されています。これも2.と同様の誤り。イギリス国内の電子レンジ事情はわかりませんが、日本の電子レンジの最大出力は、たぶん1500Wです。(コンビニ弁当温め用の業務用レンジ)。この業務用レンジを使えば、ポットの高さの4分の1の水(推定180ccの水)でも1分間の加熱で十分な予熱ができそうです。しかしながら、日本の一般家庭には、最大700Wのレンジしかありません。ポットに水を入れる量は、4分の1カップ(50cc程度)が正確な量です。

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