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2011年6月

2011年6月28日 (火)

「極める!紅茶学」第4回 アフタヌーンティー

「極める!紅茶学」最終回は、本場イギリスのアフタヌーンティーと作法についてでした。あんまり堅苦しいマナーは無しがいいですね。ここは日本ですから。
Lemoncurd 早速、レモンカードのヴィクトリアサンドイッチケーキをおつくりしました。
パウンドケーキ(バターケーキ)の真ん中半分を切って、レモンカードと生クリームをはさみ、仕上げに粉砂糖をふりかけます。レモンカード(Lemon curd)は、レモン味のバターキャラメル(今の若い人は知らないかも・・)のようなとろりっとしたクリームです。10年ぶりくらいにおつくりしました。久しぶりに食べますと、とってもおいしいのですが、ちょっと高カロリーかも。1ピース150円。お試しください。
簡単にレモンカードの作り方をご紹介。
(材料)レモン果汁1個分(約40cc)、砂糖60グラム、無塩バター50グラム、卵黄1個(全卵1個を使うレシピもあります。)
(作り方)材料全部を、40度くらいのお湯の湯煎にかけ、全部溶かします。全部溶けたら、必ず裏ごしして、今度は強火の湯煎にかけます。固まらないように絶えず木べらでかき混ぜます。(約10分間くらい。)とろりっとしてきたら火を止めます。冷めたら保存容器に入れて冷蔵庫へ。約10日間保存可能です。

毎年、何名様か「アフタヌーンティーセットがありますか?」と尋ねてこられます。
「ケーキ、スコーン、サンド、紅茶、全てご用意できますが、3段重ねのお皿のスタンドはありません。」とお返事をすると、ほぼ100%のお客様はお帰りになられます。
「3段になったお皿で!」がポイント。午後の時間を優雅に過ごすのが目的のようです。あいにく、自店はテーブルも小さく、優雅に過ごしていただけるだけのスペースはありません。植木鉢はありますが、テーブルにお花を飾ったりはしていませんし、品定めをするような高値な食器も揃えていません。有田焼きティーカップは、そこそこのお値段のものを使ってはいますが、どうも広島人は食器の目利きができないようです。わかるのはブランド名の書かれている有名メーカーの食器と萩焼。広島市立の小学生は、修学旅行で萩に行きます。萩焼だけはわかるようです。その点、九州出身の方は、窯元に近いので食器に詳しいですね。
もともと自店は、優雅な空間を演出している「非日常空間」のお店ではありません。どちらかといえば、よくムジカティーさんの言われるところの「日常茶飯」のお店。普段使いのお店です。従いまして、開店当初から「アフタヌーンティーセット」というメニューはありません。ご希望のお客様は、誠に申し訳ありませんが、他店をご利用くださいますようよろしくお願い申し上げます。美味しいかどうかは知りませんが・・。

PS・・先週土曜日の午後の再放送をご覧になったKさん。早速、新しい言葉を覚えたそうです。「パンジェンシー」・・・「心地よい渋みが余韻として残る」って感じでしょう。リプト○の紙パック入りの甘いだけの紅茶飲料よりも、少々渋みのある商品のほうが個人的には賛成です。これまでは唯一、大塚のジャワティーしかありませんでした。甘いだけの紅茶に飽きてきたって事でしょうか?
磯淵氏のHPより・・http://www.dimbula.com/?eid=1615608#comments
磯淵氏が、さりげなく語った言葉でしたが、何を隠そうキリンビバレッジの「午後の紅茶」の新商品の大事なキーワード!ちゃっかりNHKの全国放送で、「午後茶」の商品コンセプトをPRをされています。日本国民、知らないうちに、洗脳されています。恐るべし「午後茶」。
午後の紅茶の新商品HP・・http://www.beverage.co.jp/company/news/page/news2011062701.html

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2011年6月27日 (月)

ミネオラオレンジ

フルーツの授業がありましたので、その中からミネオラオレンジについて。

Minneola 最近、スーパーなどでよく見かける小さなオレンジが、
ミネオラオレンジです。
写真のように、頭がデコッとなっていてデコポンみたい。
お店のPOPに「皮が薄く、糖度13度、
果汁が多いのでおすすめ。」とあります。
POPどおり、小さいわりに果汁がギュッと詰まっていてとても甘いですね。薄皮も気になりません。パクパク食べれて美味しいです。

見分け方としては、香りのよいもの、橙色の濃いもの、重たいものなど・・。一般的な柑橘類の見分け方と同じです。ミネオラオレンジは小さいので、ビニール袋に数個入っていくらと、まとめて販売されているようですが、ビニールを通してでも、香りのよい果物は、売り場に近づくだけでいい香りがします。今が最盛期のメロン、これから出回る桃なども同じで、果物売り場周辺の香りの有り無しで判断しましょう。
(安くても香りのないものは買わないようにしましょう。)

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2011年6月23日 (木)

リンボウ先生のスコーン

6月23日のNHKラジオで夕方、林望氏をゲストに紅茶のお話があったようです。
NHKラジオの番組HPに、リンボウ先生のスコーンの作り方が掲載されていました。
http://www.nhk.or.jp/tsunagaru/rymbow/

(材料)12~13個分です。
小麦粉(薄力粉)     220g
ベーキングパウダー    小さじ2杯半
砂糖(ブラウンシュガー) 大さじ1~1杯半
塩            ひとつまみ
バター(有塩、室温状態で) 40g
牛乳           140cc
卵黄           1個分

(作り方)
□小麦粉とベーキングパウダー、塩、砂糖をボウルに入れ、よく混ぜる
□室温のバターを入れ、両手の指先で、速やかに、よくこなして、全体が砂状になるまで、粉に混ぜ込む(rub in)。手のひらは使わないこと
□牛乳をそろそろと混ぜ込み、ゴムへらなどで均質に混ぜ合わせる
□生地を、のし板に置いて打ち粉をし、手のひらで押しては畳み、また押しては畳む(knead)を繰り返すが、こねまわさないことで、伸し棒で、1.5㎝程度の厚さに手早く伸す
□直径4~5㎝の丸い型で抜く
□ベイキングシートを敷いた天板にきっちり隙間なく並べる
□上に卵黄を塗る
□オーブンで190度 12~15分ほど焼く
□きつね色に焼け色がつき、全体が膨れて、スコン独特の「狼の口」が開いたらできあがり

(食べ方)
□上下二つに割ってそれぞれにクロッテッド・クリームとジャムをたくさんのせて食べる
※クロッテッド・クリームが入手できない場合、サワークリームで代用可。

早速試作品を、夕方お作りしました。
ベーキングパウダーは10グラム、ブラウンシュガーはないので、黒砂糖15グラムを使用しました。牛乳を入れると、かなりべとつき気味ですが、打ち粉をしながら畳んでいくと生地がまとまってきます。丸型は直径4.5cmで13個とれました。オーブンで190度15分。ビストロさんやっぱり電気だからでしょうか、キツネ色にまでこんがりと仕上がりません。食べる時、改めてオーブントースターで温めるので問題ありませんが・・。
Sconerymbow 出来上がりはこちら。
たくさんの狼の口ににらまれるとちょっと怖いかも・・
自店スコーンより2まわり位大きく焼けました。食べてみますと、全体的に甘すぎず、あっさりと淡白な仕上がりです。これくらいのあっさり目のほうが、かえってクロテッドクリームやジャムをつけたときに丁度いいお味になるのかもしれません。自店スコーンが、少しバターが多めのクッキーに近いスコーンなのだと改めて思いました。

少し大きなスコーンなので、ジャムと生クリーム付きで1個200円でお試しいただけます。ご来店のお客様は、「リンボウ先生のスコーン」とお声をかけていただけたらと思います。数がないので、BLOG読者限定ということで・・。(クロテッドクリームはありません。)

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2011年6月21日 (火)

「極める!紅茶学」第3回 国内産紅茶

「極める!紅茶学」第3回の放送は、紅茶の製造、酸化発酵のお話でした。
お客様も、スクールの生徒さんも、みなさまよーく知っています。
「紅茶もウーロン茶も緑茶も、同じ葉っぱで製造過程が違っていて・・・」
これは、純粋に知識としてのお話。紅茶インストラクターさんなどが好んで取り上げそうなお話ですが、別に覚えなくても、パソコンで調べればわかること。酸化発酵についても、同様です。ここでは、別のお話を。放送中に、少し気になった点を2つほど・・

1.ベストシーズンとクオリティーシーズン
この2つの言葉を混同されていたようです。
クオリティーシーズンとは、1年のうちで最も高品質の茶葉が収穫される時期のこと。例えばダージリンだとセカンドフラッシュ。これに対し、ベストシーズンとは、1年のうちで、品質はやや劣るものの茶葉の収穫量が多い時期のこと。買い付けの値段が下がり、バイヤーさんにとって利幅が大きいという意味での「ベスト」。ダージリン紅茶でも、「この葉っぱ、香りも味も今一歩かな?」と思う商品を時々見かけます。これが「ベストシーズン」ものです。

2.国内産紅茶の目指すもの
「アッサム地方の高品質の茶葉が取れる季節(クオリティーシーズン)は、涼しい春先の1番茶です。」と放送中のお言葉。本当??紅茶通の方なら、1度はアッサムの1番茶は飲まれたことがあるかもしれません。おおよそ、ミルクティーには向かないストレート向け紅茶。コクのないさっぱりとした、アッサム紅茶特有の土臭さや重厚さのかけらもない、アッサムのイメージから最もかけ離れた品質の紅茶です。それが、アッサムファーストフラッシュ。磯淵氏の本や、ルピシ○さんのHPなど、紅茶に関するどの資料をみても、アッサムの高品質茶葉は「セカンドフラッシュ」と明確に記されています。紅茶通の求めるアッサム紅茶は、上記の特徴が最も明確に含まれている茶葉を指すのではないでしょうか?
この放送をチェックして、なんだか国内産紅茶の目指す方向が判ったような気がします。アッサム紅茶の1番茶を高品質とおっしゃる方が紅茶製造に携わると、やっぱりストレート向けの紅茶に仕上がるのではないかと思います。同じ「紅茶」とはいえ、カテゴリーが違うのです。これまでは、一般的な普通の紅茶(ムジカティーさんなど)と、フレーバーティー(ルピシ○さんなど)の2つのカテゴリーに大きく分かれるものと思っていました。両者それぞれ平行線で、住み分けも明確であまり干渉することもありません。それに加えて、第3の紅茶のカテゴリーとして「国内産紅茶」があるのですよ。同じ「紅茶」でも、目指すものが違うのです。確かに、日本人の好みに合うのは、ダージリンやヌワラエリヤなどの、煎茶に似たストレート向け紅茶でしょう。「ストレートで飲んでおいしい紅茶を!」その方向で、国内産紅茶が作られているのだと思いました。

個人的感想ですが、国内産紅茶は飲めない代物が多い。全てとはいいませんが、ミルクティー好きの方は飲んでみて、がっかりすることが多いのが事実でしょう。赤い色の飲み物なので「紅茶」でしょうが、国内産紅茶は、目指す方向が「ストレート向け紅茶」なのです。
10時3時では、ミルクティー向け紅茶が中心のメニューになっています。ヌワラエリヤ、ダージリンなどストレート向けの紅茶もありますが、当面、国内産紅茶には縁がなさそうです。国内産紅茶も、思い切って長ーーい目で見守りましょうか。100年単位で・・。そうすれば地球温暖化の影響で、気候が亜熱帯化し、日差しが強くなり、日本もアッサム地方に似た環境になるかもしれません。そうすれば、ミルクティーにあうようなパンチの効いた紅茶もできるようになるかもしれませんね。

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2011年6月15日 (水)

「極める!紅茶学」第2回 紅茶の歴史

「極める!紅茶学」第2回の放送は、歴史でした。ご来店されたお客様、早速「ダージリンの紅茶は、中国から中国種の苗を持ってきて植えたんだって。」と楽しくお話されていました。今回の放送は、磯淵氏の本「紅茶の教科書」(新星出版社、2008年初版)に沿った内容でした。アッサム種と中国種、正山小種とラプサンスーチョンの違い、CAブルースさん、アヘン戦争やアンティークなキャディーBOXなど。おさらいに最適な本です。

放送の中で「ラプサンスーチョン」のお話がありました。「薬草のような香り」と遠まわしな表現・・。実際のところは、俗に言う「セイロガ○の薬のような香り」です。(商品名はNHKの立場上放送できません。)もし、放送をご覧になって、ラプサンスーチョンの紅茶をご購入される予定の方は、是非、ご購入前にご自分のお好みの香りかどうかを、ご確認されることをオススメします。将来、技術が進歩して香りの伝わるテレビやネットが発明されたとしたら、今回の放送は出来なかったでしょうね。テレビを置いている部屋中が「セイロガ○」の香りで満たされて、大変な事態になります。

PS・・第1回放送の「ミルク イン ファースト」。様々な茶葉で試してみました。
1杯目から、しっかりした濃い紅茶がでるファニングス(BOPF)などの種類が、ミルク先入れ、後入れの違いがよくわかりました。具体的には、オーストラリア産NERADA紅茶、マレーシア産BOH紅茶、スリランカ産ルフナ、濃いめのディンブラ紅茶、CTC加工のケニヤ紅茶などがオススメです。手持ちがありませんのでテストはしていませんが、大阪ムジカティーさんのプライドオブスリランカ(BOPF)もいい感じでミルクティーになるでしょう。
前述の「紅茶の教科書」の20ページに、「ティーウィズミルクのいれ方」のタイトルで、ミルクティーのコツが記載されていました。1.通常よりも茶葉の量を多くし、濃いめの紅茶を作り、2.カップは温めて、3.牛乳は20から30cc程度を先にカップに入れ、4.出来上がりの濃い紅茶をカップ9分目と多めに注ぐとぬるい感じがなく十分な熱さで飲むことが出来るそうです。やっぱり濃いめが良いようです。

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2011年6月14日 (火)

「極める!紅茶学」第1回 ティーポットの予熱

「極める!紅茶学」の第1回の放送の中で、ティーポットの予熱について磯淵氏がたいそう難しそうなお話をしていました。
今回のお話のベース英国王立化学協会の「一杯の完璧な紅茶の入れ方」では、
「湯が沸くのを待つ間、4分の1カップの水を入れた磁器製紅茶ポットを電子レンジに入れて1分間最大出力でチンする。やかんのお湯が沸くのと同時にチンしたポットからお湯をあけているように行動を同期させる。」だそうです。
「同期」させる??なんて、考えるだけで難しい。聞くだけで紅茶を作るの大変そうよ・・って思います。これでは紅茶普及に逆効果ですね。予熱が非常に重要で、おいしい紅茶の決め手であることには違いないです。そこで、ちょっと実験してみました。
今回の実験で使ったのは・・・
ティーポットは陶器製。重さは蓋無しのポット本体のみで330グラム、蓋と本体が一緒だと400グラム。蓋って結構重いですね。容量は満水で500cc程度。ポットは、電子レンジに入れるので、ひび割れなどないかよく確認しましょう。
電子レンジは、パナソニックビストロさんA300、最大700Wです。
ガスは、広島ガス(都市ガス13A)。プロパンの場合は、火力が都市ガスよりも強く、沸騰するまでの時間は、もう少し短くなると思います。IHは経験がないので?です。
水は、水道水です。たぶん温度は20度くらいです。

1.記述内容そのまま・・4分の1カップだと、約50cc。水を入れてポットをレンジへ。700Wのレンジに1分間かけますと、陶器部分、持ち手部分もかなり熱くなります。ヤケドするほどではないですが、不意に何も考えずに持つと「熱ッ!」と、無条件反射で手を離すかもしれないのでお気をつけてください。ポットの中のお湯の温度は、だいたい70度くらいになっていました。想像以上にポットの予熱ができています。たぶん「4分の1カップ」という水の量がポイント。あまり多いと湯温が上がりませんし、逆に少ないと沸騰して危険です。水温が低い冬は、1分よりもう少し長めがいいでしょう。

2.ポット4分の1まで熱湯を注ぎ、30秒放置・・英国王立化学協会の「一杯の完璧な紅茶の入れ方」の後半部分に記述されている方法です。熱の移動には結構時間がかかるもの。30秒だと熱が十分に伝わらず、心持ち短いような気がします。また、より良い代替案として記載されている、「紅茶ポットに4分の1水を注ぎ、1分間最高出力でチンする」は誤訳です。記述通りに「ポットに4分の1」だと、水の量は125cc。水が多すぎて、40度くらいにしか湯温が上がりません。正しくは「紅茶ポットに4分の1カップの水を注ぎ」です。原文では「Add 1/4 cup of water to the pot and microwave on full power for a minute.」です。

3.ポット2分の1まで熱湯を注ぎ、1分放置・・10時3時のお店の方法です。2.の場合よりも、当然、ポットは熱くなりますが、1.の電子レンジほどではありません。

4.ポットを熱湯で満水にして・・ネット検索すると様々な方法があります。
例えば、リンアンさんのHP。満水にする方法だと1分間で電子レンジの場合と同等の予熱ができます。(持ち手部分は熱くなりません)捨てるような熱湯がたくさんあればいいのですが、エネルギー使いすぎかも。時間、水、火力を無駄にしないようにとの記述もありますので、今回は却下ということに。

5.360ccの水道水が沸騰するまでの時間・・だいたい3分半でした。

予熱方法は、1.が最もティーポットが熱くなるようです。
そこでティーカップ2杯分の紅茶を作る方法をまとめてみますと、次のようになります。これで「同期」するはず。
1.やかんに、水道水360ccを入れ、強火のコンロにかけます。
2.2分待ちます。待っている間に、「何の紅茶を飲もうかなぁ」と決めておきます。
3.2分経過後、ティーポットに50ccの水を入れ、電子レンジ700Wで1分加熱。チン!と加熱が終わったら、やけどに気をつけてポットを取り出し、中のお湯を捨てます。(または、マグカップに移してマグを温めておきます。)せっかく温まったポットが冷めるので、すばやく次の動作を。
4.ティースプーン2杯(3グラムかける2)の茶葉をポットに入れると、ちょうどやかんのお湯が沸騰している頃です。98度(沸騰直前)で火を止め、熱湯360ccを高い位置からポットに注ぎます。この温度98度が適切だと、ポット内のお湯の表面に茶葉が浮かぶそうです。ご確認ください。
5.軽くかき混ぜ、ポットの蓋をして3分待ちます。ティーコージがあれば使用します。なければ、タオルなどでティーポットをおおましょう。
6.温めておいたマグカップに、お好みの量のミルクを入れておき、茶漉しを通して紅茶を注ぎます。美味しいミルクティーの出来上がり。

5.で軽くかき混ぜるのは、茶葉が開くのを促す役目です。茶葉同士を離すことで、水分を吸った茶葉が広がりやすくなります。先週のクッキングスクールの紅茶の授業での質問にもありましたが、「ジャンピング」は、「ジャンプ」そのものが目的ではありません。お湯の対流にあわせて無理なく茶葉がお湯の中を動くことで、茶葉が十分に広がります。特に、大きな葉っぱ(オレンジペコ)が広がるには、ある程度の空間の確保が必要です。「空間が確保され、茶葉が十分に広がった」その結果として、紅茶の香り、味などの成分(美味しさ)が抽出されるのです。

PS・・磯淵氏の本「紅茶の教科書」(新星出版社、2008年初版)にも、今回の紅茶の淹れ方が掲載されています。208から211ページに、電子レンジを使ったティーポットの予熱について、「ポットの4分の1まで水を入れ・・」と記述されています。これも2.と同様の誤り。イギリス国内の電子レンジ事情はわかりませんが、日本の電子レンジの最大出力は、たぶん1500Wです。(コンビニ弁当温め用の業務用レンジ)。この業務用レンジを使えば、ポットの高さの4分の1の水(推定180ccの水)でも1分間の加熱で十分な予熱ができそうです。しかしながら、日本の一般家庭には、最大700Wのレンジしかありません。ポットに水を入れる量は、4分の1カップ(50cc程度)が正確な量です。

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2011年6月 9日 (木)

ノンホモ牛乳で「ミルク イン ファースト」

前回BLOGの「ミルク イン ファースト」。お店で実験しました。
せっかくなので、ノンホモ牛乳を売ってるかなぁとご近所のスーパーのユアーズさんに行ったら、ありました!木次乳業の「ブラウンスイス牛乳」。ノンホモは1種類しかなく、しかも最後の1個でした。お値段は、500ccで190円。72度15秒殺菌。そのまま飲んでみますと、とてもミルキーで美味しいです。紅茶に使うのは、もったいないくらい。
木次乳業さんの牛乳は、以前BLOGで取り上げました。
http://tearoom1003.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-760f.html

さて、本題です。
紅茶の種類はアッサムを6グラム、熱湯360cc、抽出時間3分。
冷蔵庫から取り出したばかりの牛乳40ccと、
出来上がりの推定80度の熱々紅茶80ccで、
2種類のミルクティーをお作りしました。
Milkinfirst 写真左が、牛乳が先のミルクインファースト。
写真右が、紅茶が先のミルクインアフター。
分量が一緒ですから当たり前ですが、
両者とも、見た感じ同じです。
熱い紅茶の中に牛乳を入れると、脂肪分が分解してとか、
牛乳が分離してどーのってわけではないようです。
飲んだ印象は、
ミルクが先のほうが、どちらかといえばすんなりスムースに飲めるようです。
ミルクが後のほうは、少しだけモゾモゾモコモコ・・口の中で引っかかる感じが・・。
でも、気のせいかもしれません。口当たりのほんのわずかの差でしかありません。
ノンホモ牛乳を何種類もテストしたわけではありませんが、
知らない人は全くわからないその程度。

イギリス人って、いつからこんな薄い紅茶を飲むようになったのでしょうか?
今回のベースとなる英国王立化学協会の「一杯の完璧な紅茶の入れ方」では、使用する茶葉について、アッサム紅茶2グラムを指定しています。今回のテストで使った茶葉は、大阪ムジカティーさんのアッサム紅茶。1杯あたり3グラム。ムジカティーさんのアッサムは、比較的濃く出るタイプの茶葉なのですが、それでも3分抽出後の1杯目をミルクたっぷりの紅茶にしますと、出来上がりはとても薄いです。がぶ飲みミルクティーって印象を受けます。同じ実験を、イギリス人好みと思われるオーストラリア産NERADA紅茶と、マレーシア産BOH紅茶、ハロッズNo.14で行いました。どれも少し濃く出る紅茶なので、飲み応え感は増しました。しかしながら、ミルクの先、後のどちらのミルクティーを飲んでも、アッサム紅茶の場合と同じ結果でした。ミルクが先のほうが、ほんの少しだけスムースに飲めるようです。ほんの少しです。

個人的な好みもあるでしょうが、やっぱり1杯目の紅茶はストレートで飲んだほうがいいかなぁと、今回のテストで改めて感じました。
以下、10時3時オススメの紅茶の飲み方です。
1杯目はストレート紅茶で。水色、香り、コク、渋みなどを感じておいて、ミルクがあうかどうかを判断します。その後、ミルクがあうようでしたら、2杯目の紅茶をミルクたっぷりのミルクティーで飲むのがいいかなと思います。ある程度の時間が経過した2杯目の濃い紅茶は、75度以下に温度が下がっているでしょうから、ミルクが先でも後でも、熱により変質することはないでしょう。牛乳は、2杯目の濃い紅茶に負けないような、少しコクのある成分無調整の牛乳を。牛乳選びのポイントは、ノンホモ、ホモジナイズド、低温殺菌、高温殺菌などにかかわらず、ご自分で飲まれて良質のもの(牛乳単品で飲んだときに、ミルキーで、ほんのり甘く香る牛乳)ということになります。

PS・・ユアーズさんの低温殺菌牛乳、お試し価格が終わり、値上がりしていました。
1000cc228円。それでも良心価格です。

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2011年6月 7日 (火)

「極める」で紅茶研究家磯淵氏がお話しなかったこと・・

6月6日夜のNHK教育TV番組「極める」は、紅茶のお話でした。
ミルクティーと紅茶の淹れ方について、紅茶研究家の磯淵氏のお話が25分ありました。この番組のベースとなったプレスリリースは、英国王立化学協会の「一杯の完璧な紅茶の入れ方」。日本語訳がありました・・・
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Orion/3324/etc/tea_rsc.html
放送内容は、いろんな人が黙っていてもBLOGに書くでしょうから、今回は磯淵氏がお話ししなかったことで、気になる点を少々書いておきます。 

1.低温殺菌牛乳・・番組では、低温殺菌牛乳を推奨されていました。時間枠の限られる番組内で紹介するには、都合のよい言葉ですが、低温殺菌が必ず良いというわけではありません。低温殺菌牛乳でも美味しくないもの、たとえ単品で美味しくてもミルクティーにすると紅茶との相性が悪いもの、さらっとコクがなく薄いために濃い紅茶に負けるものなど様々。反対に、高温殺菌であってもミルクティーにして好相性の牛乳もあります。低温殺菌牛乳は少量生産で、販売エリアが限られます。お住まいの地域で販売されている牛乳を個別にテストする以外にはないでしょう。

2.ノンホモ牛乳・・イギリスで一般に販売されているのは、低温殺菌で、なお且つ、ノンホモ牛乳のはず。今回の放送では、ノンホモ牛乳について、一切触れていません。ノンホモ牛乳は脂肪均質化行程を経ていない牛乳で、牛乳瓶の上部に濃い脂肪分が浮き上がるタイプのもの。日本で販売されている牛乳は、殆んどホモジナイズド(均質化された)牛乳です。番組内でノンホモ牛乳について触れると、NHKに問い合わせが殺到します。TV番組では「嘘は言いませんが、本当のことも言いません」。所詮、エンターテイメントですから。本当のことを言って、視聴者が混乱すると困るのです。無難な線でシナリオを書くのがTVディレクターのお仕事です。

3.65度がベスト・・マグカップに出来上がったミルクティーの温度は、60から65度がベストだそうです。「熱いと飲めませんし」なんてゲストの人はコメント。「熱いと下品な飲み方になる」というのが理由だそうです。
牛乳の熱による変化は、だいたい70度近辺で起こります。低温殺菌は60から65度。フォームドミルクを作る際の牛乳の温度もだいたい65から70度。牛乳の膜が張る現象も(温度の上げ方にもよるのだそうですが)それくらいの温度。喫茶店でホットミルクをご提供するときも70度。熱々の紅茶に慣れていると、70度って飲んで少しぬるく感じます。
60から65度を推奨するのは、温度に敏感なノンホモ低温殺菌の熱による変質を防ぐために、「65度以下で」という意味でしょう。そのために、イギリスではカップに牛乳を先に入れる「ミルクインファースト」が推奨されるわけです。クッキングスクールの紅茶の授業で、同じような質問が生徒さんからよくあります。私の答えは・・「日本では、こんな議論はナンセンス!ホモジナイズド高温殺菌牛乳が主流ですから。ミルクが先でも後でも、実質あまり関係ありません。それよりもベースとなるおいしい紅茶の淹れ方をマスターするほうがはるかに重要です。」
マグカップ内の出来上がりミルクティーを65度にしようと思うと、「冷蔵庫の冷たい牛乳(10度)」と「出来上がりの熱々紅茶(80度)」の割合は、1対2くらいになるでしょう。ただ、3分蒸らた後のすぐの1杯目の紅茶はあまりコクがありません。日本のスーパーなどで一般に販売されているリーフティー、ティーバッグを使用すると、この割合ではミルクが多過ぎの感じがします。紅茶出来たての1杯目から、しっかりしたミルクインファーストの紅茶にしようと思うと、イギリスで一般的なミルクティー向けブレンド紅茶や、十分にコクのある(あまり高級品でない)アッサム、ルフナなどの茶葉を使う必要があるでしょう。(アッサム紅茶の高級品は芯芽(Tip)の割合が多くストレート向けのものが多いです。)

ちょっと余談ですが、以前こんなことがありました。
某テレビ局のディレクターの人がご来店。
「蜂蜜を入れると紅茶が濁るのはナゼ?」と視聴者からお便りがありまして・・。
ちょうど、色々なタイプのハチミツが3種類ありましたので、その場で実験しました。
最も安いチューブ入り(水あめ入り)、水あめの入っていない一般的な純粋蜂蜜、瓶入り1キロ5000円の結晶タイプの蜂蜜。結果、チューブ入りでは濁りますが、高級品の結晶ハチミツは濁りません。最近では紅茶専用の濁らない蜂蜜っていうのも通販販売でありますね。「蜂蜜の種類や品質によります。必ず濁るってわけではありませんよ。」と私は説明しました。後日、放送されたのは、私のコメントではなく、L紅茶の見解でした。「濁っても大丈夫です。安心してください。健康上全く問題ありません。」と。
品質の良い商品は、消費者が理解し、買い支えることにより継続されます。今の日本の現状では、いい商品が継続する環境にはありません。

もう一つ。
昨日のNHKラジオ深夜便のワールドネットワークは、パリからのレポートでした。「フランスでは旱魃で、牛に食べさせる牧草がなくなり、殺処分されている。頭数も多く、受付できない状態です。」と。乳牛か肉牛かは触れていませんでしたが、悲しい報告です。通常、牛は当たり前ですが、草を食べます。決して好んで配合飼料や穀物を食べるわけではありません。草ばかりを食べる乳牛のお乳は、草のいい香りがして脂肪分が少なく、さらっとしています。日本で牛に配合飼料を食べさせるのは、生乳の出荷基準の乳脂肪分3.5%以上をクリアさせるためなのです。美味しい牛乳というのは、牛さんの生育環境や、食べる餌の総合的な結果です。低温殺菌とは、殺菌の手段であって、美味しいかどうかは殺菌前の生乳次第。低温殺菌だから美味しいというのは、危険な妄想なのです。

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