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2010年3月

2010年3月21日 (日)

ジャムとコンポートのあいだ「セミ・コンフィ」

「セミ・コンフィ(Semi-Confit)」ってご存知ですか?。
セミは半分、コンフィはコンフィチュール(フランス語Confiture)、つまりジャム。
ジャムとコンポートの中間のフルーツ加工品が「セミ・コンフィ」です。
コンポートは糖度が低く、あまり日持ちがしないんですね。
「セミ・コンフィ」。一言で言うと、甘いプレザーブスタイル(果物の形の残った潰れていない)ジャムのような感じです。ケーキの飾りとして使えそう。どんなものができるのか、実験してみました。

「ル・コルドン・ブルーの20の素材と41のフランス菓子」(柴田書店 2007年3版)の154ページに詳しく掲載されています。少し引用しますと、
「セミ・コンフィは、直接の加熱時間を極力減らし、余熱を利用しながら時間をかけて糖分を浸透させることで、果実の持ち味を守るテクニックです。水分が多く、サイズが小さくて崩れやすいフルーツの、本来の風味とテクスチャーを生かすためにお勧め。とくにイチゴやアメリカンチェリーなどに向いています。加熱時間を減らす分、浸透圧を高めるためにシロップは濃いめに調整するのがポイント。ここでは水分の3倍量の砂糖を使っています。

グラニュー糖 300グラム
水       100グラム
イチゴ     200グラム

1.グラニュー糖と水を合わせて、140度まで加熱する。
2.イチゴを加えたら少し煮立たせてすぐに火から下ろし、いったん冷ます。
3.グラニュー糖が白く固まったら再び弱火にかけて砂糖を溶かす。
4.砂糖が溶けたらまた冷ます。このプロセスを数回繰り返す。
5.砂糖がイチゴの内部に浸透して水分が抜けると、イチゴの繊維は残りつつ、しんなりとしてくる。素材にもよるが、3.4.のプロセスを4~5回繰り返すとこのように仕上がる。」

140度といっても難しいですね。文章にするのも大変なので、
こちらのHPの・・http://sugar.alic.go.jp/japan/view/jv_0405a.htm
最下部の表をご覧ください。温度計がない場合は、スプーンですくって氷水に落としたときの状態で温度を確認します。140度は、糖液を氷水に入れると、丸める間もなくすぐに固まります。少し力を入れると曲がることは曲がる状態。温度が150度だと、力を入れると弾力性がなく折れます。糖液に色がつくと既に160度。温度高すぎですね。

今回は、実験なので少量作るように、色々工夫しました。
鍋で作ると口径が広いため、大量のお砂糖が必要になります。今回は300cc程度の磁器製のマグカップを使用し、少量作成での糖液の深さを確保しました。また、ガスコンロの火加減では再現性が難しいので。電子レンジを使いました。一定量の加熱をワット数と秒数で決めることができるので、同じマグカップ、同じグラム数だと、再現性が確保されます。なお、電子レンジ加熱中は、マグカップから糖液が常に溢れないかよく見ていて下さい。数分のことなので必ず。溢れますと、高温の糖液がレンジ内部にこびりついて取れなくなります。(カラメルを作ったことのある人はわかると思いますが、高温の糖液の塊は後処理が非常に困るので・・。)

(材料)砂糖 90グラム
    熱湯 30cc
    果物 イチゴ(4粒を縦半分にスライス)
        バナナ(輪切り8枚)
        りんご(いちょう切り8枚)
(作り方)1.砂糖と熱湯をマグカップに入れます。
2.電子レンジ強700Wで1分間の加熱を3回。これで130度くらいまで上がります。
3.700Wでさらに30秒から1分。これで約140度。使うマグの重量や素材の厚みなどで秒数が若干変わると思います。
4.フルーツをマグカップに投入。入れた瞬間に糖液が沸騰するので気をつけて。
5.軽く混ぜ、レンジに戻し、700Wで30秒加熱。この作業が最もマグから糖液が溢れる危険があります(経験済み)。気をつけてレンジの中を見ていてください。加熱が終わったら、レンジから取り出し、冷まします。
6.5が冷めたら、レンジで再加熱します。レンジ弱300Wで1分~1分半くらいで、再びマグの中が沸騰します。沸騰したら、レンジから取り出し、また冷まします。
7.6の再加熱の作業を何度か繰り返します。

Semiconfit 結果がこちら。上からりんご、バナナ、いちご。
左端は、140度の砂糖液に浸し冷やした状態。
左から2番目は、再加熱(レンジ300W1分)を1回したあとで冷やした状態。
    3番目は、再加熱(同上)を2回したあとで冷やした状態。
    4番目は、3回後。右端は4回後です。
りんご・・・投入直後だと半透明に。まだりんごのサクサク感が残ります。再加熱1回で、とても美しい透明感のある状態に。感動的な非常に美しいプレザーブスタイルのりんごジャムです。再加熱2回目以降はりんごの形は崩れませんが、徐々に甘さが増すのでりんご感が薄れます。ケーキに飾るには、再加熱1回での利用がベストです。
バナナ・・・投入直後で、少しつやが出てすぐにでも飾りとして使える状態。再加熱1回で、既にバナナの輪切りの形が崩れ、飾りでは使えない状態。再加熱を2回したら、シロップの中に完全に溶けて、跡形もなく消えてしまいました・・。投入直後がベスト。
いちご・・・投入直後では、形は少ししんなり、味はいちごのジューシーな感じが残り、まだお砂糖と入れ替わっていない状態。再加熱1回では、色が少し抜けて半透明に。食べるとジューシー感はなくなりましたが、中途半端でまだお砂糖と入れ替わり途中。再加熱2回でいい感じに。透明感のあるプレザーブスタイルのいちごジャムそのもの。いちごの立体感はなく、しんなりとしています。ケーキに飾るときにボリューム感がでなくて困りそうですが、甘さ加減はちょうどいいです。再加熱3回目以降は、甘過ぎて、砂糖菓子そのもの。アイスクリームやヨーグルトと一緒にいただくのであれば丁度いいかもしれません。ただ、ほかとフルーツの甘さのバランスが取れない状態。セミ・コンフィとしては、これが出来上がりの理想の状態かもしれませんが、甘過ぎです。甘すぎて頭が割れそう・・。再加熱2回での利用がベストです。

Semiconfit2 即席でカスタードクリームを作り、フルーツを飾ってみました。
左側・・・ごく普通の飾りつけ。フルーツは一度シロップにつけています。
右側・・・セミ・コンフィでの飾りつけ。高級感があっていかも・・。
お味は、セミ・コンフィを使った右側は、口の中に入れたときのカスタードとフルーツの一体感があり美味しく感じられます。左側は、口の中でハーモニーを奏でない。
苦労してセミ・コンフィを作ると、相応の美味しさもありますね。
セミ・コンフィのシロップは、十分に切ったほうがいいみたいです。粘度が高いので余分なシロップのが落ちにくく、時間が経過した後でカップの底にたまりますので。
今回は試作品なので、アルミカップに入れてお作りしましたが、食べにくかったです。
ご家庭でしたら、ガラスの器など適当な入れものをご利用くださいね。

出来上がったセミ・コンフィは、そのまま糖液に浸けておきますと、冷えてガチガチに固まってしまいます。糖液の粘度が非常に高いので、糖液内のセミ・コンフィを取り出そうとすると、せっかく美しく仕上がったフルーツの形が崩れてしまいます。使うとき再加熱する必要がありますので電子レンジOKの入れ物で保存するか、または、糖液とセミ・コンフィの果実を別々に分けて保存することをおすすめします。

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2010年3月13日 (土)

おすすめの本「アレルギーっ子の生活百科」

私、今年で花粉症歴30年になります。花粉症のお客様も、大勢いらっしゃるようです。つらいですよねー。
臨時メニューとしまして、症状の緩和に効果がある言われているハーブティーの「ネトル(ティーポット400円)」と、店内にティッシュペーパーをご用意しています。更に、空気清浄機を調達しました。花粉の飛ぶ晴れの日など、効果が期待できそうです。

 

Allergy 今日は、おすすめ本のご紹介を。中央図書館でアレルギーについての本を数冊お借りしているなかでの1冊です。
「アレルギーっ子の生活百科」
角田和彦著 近代出版 2001年第2版
(2005年に第3版が発行されています)
角田先生は宮城県でアレルギー専門のクリニックを開業されています。内容は、主には食物アレルギーについてですが、生活全般にわたり気をつける内容が、衣食住それぞれ詳しすぎるくらい詳しく掲載されています。部屋の中やふとんの掃除の仕方(ダニ対策)、食事の内容、周りの人の気をつけるべきことなど、読んでいると、「そういえば・・」と思うことが多数ありました。ほんのちょっとした気遣いで、症状が軽めに収まることがあるようです。専門用語は読み飛ばしても一読の価値があります。

 

花粉症、気管支喘息、アナフィラキシ-と、今年に入って昨年以上にちょっと大変。
あまり休まないように、ぼちぼちやっていますのでよろしくお願い申し上げます。
最近の症状は、店長の喘息日記2010・・・よろしければ、サイドバーからどうぞ。

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