アーティストとしてのメニュー作り
「客なんてものは、拵えた人の思い入れなぞお構いなしに、ただ食べるだけ。それで善し悪しを判断するものです。」
いい言葉ですね。私が、日ごろ思っていることそのまんまです。
「あんどーなつ」という漫画があります。
小学館ビッグコミックオリジナルの連載で、今号(8月20日号)の巻頭カラー。
和菓子職人修行中のなっちゃんが、常連のご隠居さんに新作のお菓子の説明をしようとしたら、ご隠居さんが説明を断って言うセリフです。
開業前、10時3時のお店のメニューを決めるときに、まず考えたことは・・・
1.どのメニューを注文されても、お客様の五感に響くような感動的な作品にすること。
2.1人1人のお客様に詳しい説明はできませんから、味はもちろん、お店の目指す方向性や、将来の紅茶店としてあるべき姿が伝わるように、1つのメニューの中に総力を挙げて作りこむこと。説明が必要なメニューは、作りこみが足らないのです。アーティストとして。
3.材料を吟味し、過剰な装飾を排除し、出来るだけストレートにお客様に伝えること。
「この材料は本当に必要か?代替品は?分量は?」常に問いかけます。材料は増やすより減らすほうが難しいです。
4.2つ以上のメニューをご注文されたとき、それらがハーモニーを奏でるか?
飲食店に限らず、絵画、音楽、映画など全てに共通することだと思いますね。
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コメント
いやあ、うれしいですね。客からするとやはり押しつけがましいお店は好きじゃありません。
近頃はホント能書きがうるさくて辟易するようなお店も多いですから。たとえば今時のラーメン屋なんかは「看板でだし取ってるの?」って聞きたくなるようなところもよく見ます。
一方で客の側も感性を磨いておかないと……と思います。せっかく素晴らしいものを提供してくれるお店に出会っても、それを見過ごしてしまってはもったいないですからね。
投稿: Yosh | 2009年8月15日 (土) 00時03分
Yoshさま、こんにちは。
いつもコメントありがとうございます。
現代の若い人は、時間をかけて自らの感性を磨くという人は少ないですね。お客様の最近の傾向を見てみますと、経験を積み自ら体得するいう事をすっ飛ばして、最上級のものを注文するように感じます。ワインを飲んだことがない人が、いきなりフランスのボルドーの赤ワインを注文するようなもので、無謀です。何事も手順があって、ワインならドイツの白ワイン、カレーならバーモントカレーから。
人生を豊かにするには、ある程度の道草が必要だと思いますが、道草はしないみたい。
紅茶も同じで、飲む回数をこなさないと味覚も肥えないのですが、面倒なことは避けるようで、いきなりウバ!とご注文されます。
このほか、自分でメニューを選ぶことをしないで、「このケーキとあう紅茶を」という感じで、ベストマッチを求める傾向も。ナゼ相性がいいかは考えない。答えは、ネット検索でほぼ正解がわかる時代ですから。
お店の薀蓄も、色々と看板に文章で書いてあると、何も疑わずに安心するのではないかと思います。
目の前のものを疑うことを知らない、平和な時代です。
現代人の感性は、原石のまま、コンビニなどの物量作戦により、心の奥深く埋もれてしまっています。いまや紅茶の基準は、目の前のペットボトル、キリンビバレッジ「午後の紅茶」です。せめて大塚「ジャワティー」になってほしいところ。
投稿: 10時3時の店長より | 2009年8月15日 (土) 14時52分